◆軽度認知障害の人にIVIG
軽度認知障害が認知症の手前の段階と考えられ、アルツハイマー病と共通する物忘れなどの症状を含むこともあります。
この研究は、物忘れのある軽度認知障害の患者50人を対象に行われました。対象者はランダムに、IVIGの治療を受けるか、偽の治療として生理食塩水の点滴を受けるかに分けられ、その後2年まで、認知機能のテストとMRIの画像で変化を調査されました。
◆1年後のアルツハイマー病が少ない
次の結果が得られました。
12か月時点で、脳萎縮が偽薬群(8.14%)に比べてIVIG群では有意に少なかったが(5.87%、P=0.037、軽度認知障害の状態によって調整)、24か月では脳萎縮の減少は統計的優位水準に届かなくなった。
[...]1年時点で、後期軽度認知障害からアルツハイマー型認知症への進行は対照群(58.3%)に比べてIVIG群で少なかった(33.3%)。
治療後1年の時点で、IVIGを受けた人では脳の萎縮が少なく、また後期の軽度認知障害があった人がアルツハイマー型認知症に進行することが少なくなっていました。
アルツハイマー病の予防と治療について多くの研究がありますが、決定的な方法はまだ現れていません。こうした研究も何かの前進に結びつくかもしれません。
執筆者
IVIG treatment of mild cognitive impairment due to Alzheimer's disease: a randomised double-blinded exploratory study of the effect on brain atrophy, cognition and conversion to dementia.
J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2015 Sep 29 [Epub ahead of print]
[PMID: 26420886]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。