2015.12.09 | ニュース

免疫グロブリンが脳を守る?アルツハイマー病との関係は

軽度認知障害のある50人で検証

from Journal of neurology, neurosurgery, and psychiatry

免疫グロブリンが脳を守る?アルツハイマー病との関係はの写真

アルツハイマー病の治療には薬もありますが、効果に限界があります。免疫グロブリン静注療法(IVIG)は、神経に起きるギラン・バレー症候群の治療としても知られていますが、軽度認知障害のある人で脳の変化を抑える効果があるかが検討されました。

◆軽度認知障害の人にIVIG

軽度認知障害が認知症の手前の段階と考えられ、アルツハイマー病と共通する物忘れなどの症状を含むこともあります。

この研究は、物忘れのある軽度認知障害の患者50人を対象に行われました。対象者はランダムに、IVIGの治療を受けるか、偽の治療として生理食塩水の点滴を受けるかに分けられ、その後2年まで、認知機能のテストとMRIの画像で変化を調査されました。

 

◆1年後のアルツハイマー病が少ない

次の結果が得られました。

12か月時点で、脳萎縮が偽薬群(8.14%)に比べてIVIG群では有意に少なかったが(5.87%、P=0.037、軽度認知障害の状態によって調整)、24か月では脳萎縮の減少は統計的優位水準に届かなくなった。

[...]1年時点で、後期軽度認知障害からアルツハイマー型認知症への進行は対照群(58.3%)に比べてIVIG群で少なかった(33.3%)。

治療後1年の時点で、IVIGを受けた人では脳の萎縮が少なく、また後期の軽度認知障害があった人がアルツハイマー型認知症に進行することが少なくなっていました

 

アルツハイマー病の予防と治療について多くの研究がありますが、決定的な方法はまだ現れていません。こうした研究も何かの前進に結びつくかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

IVIG treatment of mild cognitive impairment due to Alzheimer's disease: a randomised double-blinded exploratory study of the effect on brain atrophy, cognition and conversion to dementia.

J Neurol Neurosurg Psychiatry. 2015 Sep 29 [Epub ahead of print]

[PMID: 26420886]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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