2015.10.24 | ニュース

感情で食べる人は脳の活動に特徴があった

48人のfMRIの比較

from Obesity (Silver Spring, Md.)

感情で食べる人は脳の活動に特徴があったの写真

つらい気持ちになったときに、つい食べ過ぎてしまったことはないでしょうか?悪い感情に反応して食べる傾向がある人は肥満の治療でも効果が弱くなりやすいという報告があります。こうした人の脳の活動を観察する研究が行われました。

◆感情で食べるスコアによってfMRIを比較

この研究は、肥満と2型糖尿病がある人、肥満だが血糖値は正常の人、やせた人をあわせて48人を対象としました。

対象者が悪い感情に反応して食べる傾向をスコアで評価しました。対象者が食欲を刺激するものを見たとき、また糖尿病治療薬であるエキセナチドの注射を受けたときの脳の活動の変化を、fMRIという画像検査で観察しました。fMRIで見られた変化に、感情で食べるスコアによって違いがあるか、解析を行いました。

 

◆島の活動に相関

視覚刺激を受けたとき、次の結果が得られました。

感情的摂食スコアと食べ物刺激に対する反応の正の相関が、やせた対象者では島に、肥満で正常血糖の対象者では島に、2型糖尿病患者では扁桃体と眼窩前頭皮質と島に見られた。

スコアが高い人のほうが、大脳のうち食欲などに関係すると言われている島(とう)という部分などの活動が強い傾向が見られました。エキセナチドの注射に対しても、スコアと関連して違いが見られました。

 

食べる行動を脳機能と結び付けて研究したことで、この結果が新しい治療薬などの研究の手掛かりになるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Emotional eating is associated with increased brain responses to food-cues and reduced sensitivity to GLP-1 receptor activation.

Obesity (Silver Spring). 2015 Oct

 

[PMID: 26331843]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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