◆ノルウェーの出生データを解析
研究班は、ノルウェーの出生登録データベースから、1999年から2013年の出産の情報を取り出して統計解析を行いました。
死産の場合を含めて896,674人の子どもの出産について、母親がビタミン補充をしていたかどうかと、子どもの口唇口蓋裂の関連が調べられました。
◆ほかの形成異常にともなう口唇口蓋裂が少ない
次の結果が得られました。
口唇口蓋裂の出生時有病率は生産・死産を含む1,000出生あたり1.81件だった。
関連はほかの形成異常にともなう口唇口蓋裂の症例についてより強く見られたが(調整相対リスク0.63、95%信頼区間0.45-0.88)、ビタミン補充は口唇口蓋裂が単独で発生する例については防御効果を示さなかった(調整相対リスク0.98、95%信頼区間0.84-1.15)。
口唇口蓋裂は出生1,000人あたりおよそ1.8人に見られました。ビタミン補充により、口唇口蓋裂が単独で発生する頻度に違いは見られませんでしたが、ほかの形成異常にともなう口唇口蓋裂が少なくなっていました。
この研究の方法では、必ずしもビタミン補充が口唇口蓋裂をともなう形成異常を予防したとは断言できません。ビタミン補充以外の栄養管理など、ほかに関係する要因があった可能性も考えられます。
また、もしビタミンに効果があるとしても、どの種類のビタミンが重要だったのか、あるいはどの時期に補充するのが適切かといった情報は、この結果からはわかりません。
口唇口蓋裂は生まれつき起こる形成異常の中では頻度が高く、手術などの治療が勧められます。この結果は妊娠に関わる栄養管理の中で参考にできるかもしれません。
執筆者
Folic acid supplements and risk for oral clefts in the newborn: a population-based study.
Br J Nutr. 2015 Nov
[PMID: 26343883]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。