◆過去の研究を収集
研究班は、過去の研究を検索し、緑茶の消費量と肝臓がんの頻度について調べたものを集め、データを統合して解析しました。
◆女性にだけ関連あり
次の結果が得られました。
中国、日本、シンガポールで行われた465,274人の参加者、うち3,694例の肝がん症例を含む、9件の前向きコホート研究の論文が採用された。要約相対リスクは緑茶の消費量が最も多い群と肝がんのリスク減少に有意な関連を示した(要約相対リスク0.88、95%信頼区間0.81-0.97)。
性別で層別化すると、緑茶の消費による肝がんリスクに対する防御効果は女性の群にだけ見られ(要約相対リスク0.78、95%信頼区間0.64-0.96)、男性には見られなかった(要約相対リスク0.89、95%信頼区間0.79-1.00)。
中国、日本、シンガポールの対象者について、集まった46万人以上のデータを解析したところ、全体として緑茶の消費量が多い人で肝臓がんが少なくなっていました。男女別に見ると、女性では緑茶の消費量が多い人で肝臓がんが少ない関連が見られましたが、男性では違いが見られませんでした。
緑茶の効果については多くの研究があります。ただし、仮に効果があるとしても、多く飲むほど効果が高くなるものではなく、飲みすぎで有害な影響が出る可能性もあります。
こうした研究の中で緑茶の成分が体内で起こす化学反応を詳しく調べる試みもあり、がん治療の研究の中で、何かの手がかりになるかもしれません。
執筆者
Green tea and liver cancer risk: A meta-analysis of prospective cohort studies in Asian populations.
Nutrition. 2015 Jul 2 [Epub ahead of print]
[PMID: 26412579]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。