◆統合失調症に対するカリプラジンの効果
この研究は、統合失調症の急性の悪化があった患者を対象としました。対象者はランダムに、カリプラジンを使うグループと、偽薬を使うグループに分けられ、6週間の治療を受けました。
◆カリプラジンで症状改善
次の結果が得られました。
6週の時点で、偽薬に比べてカリプラジンを優位とする統計的に有意な最小二乗平均差が陽性・陰性症状評価尺度の総合スコア(3-6mg/日:-6.8、P=0.003、6-9mg/日:-9.9、P<0.001)および 臨床全般印象度の重症度(3-6mg/日:-0.3、P=0.012、6-9mg/日:-0.5、P<0.001)について見られた。両方のカリプラジン群でよく見られた、治療による有害事象(5%以上で偽薬の2倍以上の頻度だったもの)はアカシジア、錐体外路障害、振戦であり、多くは軽度から中等度だった。
カリプラジンを使ったグループで、偽薬のグループよりも統合失調症の症状のスコアが改善しました。副作用と考えられた症状として、抗精神病薬によってしばしば起こると言われる、パーキンソン病に似た症状が報告されました。
研究班は「これらの結果はカリプラジンが統合失調症の新しい有効な治療となりうることを示唆する」と結論しています。
統合失調症は薬を使うなどの治療により、ある程度改善が期待できます。カリプラジンの効果が認められれば、今後の治療方針において役立つ場面があるかもしれません。
執筆者
Efficacy and Safety of Cariprazine in Acute Exacerbation of Schizophrenia: Results From an International, Phase III Clinical Trial.
J Clin Psychopharmacol. 2015 Aug
[PMID: 26075487]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。