◆殺虫剤とがんの研究を収集
研究班は、過去の研究を検索して、子ども時代に住居用殺虫剤に触れていることと子どものがんの関係を調べたものを集め、結果のデータを統合しました。
◆殺虫剤で白血病、悪性リンパ腫増加
見つかった16件の研究から、次の結果が得られました。
子ども時代に屋内で住居用殺虫剤に曝露することに、子ども時代の白血病のリスクの有意な増加(オッズ比1.47、95%信頼区間1.26-1.72、I2=30%)、子ども時代の悪性リンパ腫の有意な増加(オッズ比1.43、95%信頼区間1.15-1.78、I2=0%)と関連が見られたが、屋外での殺虫剤とは関連が見られなかった。除草剤の曝露とも、白血病のリスクの有意な増加との関連が見られた(オッズ比1.26、95%信頼区間1.10-1.44、I2=0%)。
子ども時代に屋内で住居用殺虫剤に触れていると、子ども時代の白血病と悪性リンパ腫が多いという関連が見られました。除草剤についても、白血病との関連が見られました。
ここで参照されたデータは、殺虫剤を使うかどうかに研究者が関与しないタイプの研究から得られたものです。この場合、たとえば殺虫剤を使う必要があるような環境によって白血病が起こっていないかといった、ほかの要因についてもあわせて検討する必要があり、必ずしも殺虫剤が原因で白血病が多くなったとは断言できません。
ここで見られた関連は、子どもに起こる白血病や悪性リンパ腫の原因を解明し、より効果的な予防や治療に結びつけるためのヒントになるかもしれません。
執筆者
Residential Exposure to Pesticide During Childhood and Childhood Cancers: A Meta-Analysis.
Pediatrics. 2015 September 14 [Epub ahead of print]
[PMID: 26371195 ]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。