2015.08.18 | ニュース

脂肪肝で腎臓病のリスクが増加

8,329名の健常男性を追跡調査

from Metabolism: clinical and experimental

脂肪肝で腎臓病のリスクが増加 の写真

脂肪肝になりそのまま放っておくとどのような疾患のリスクが増えるのでしょうか?今回紹介する論文は、脂肪肝によって起こりやすくなると言われる慢性腎臓病との関連を検証した2008年の論文です。

◆慢性腎臓病に関連する要因を検証

今回の研究は、8,329名の腎機能が正常な男性のアルコール摂取量、肝臓や代謝の機能、腹部エコーなどを評価し、その後の追跡調査によって慢性腎臓病との関連性を検証しました。

 

◆非アルコール性脂肪性肝疾患は慢性腎臓病のリスクを1.55倍に増大させる

調査の結果、以下のことを報告しました。

非アルコール性脂肪肝疾患は、CKDへの進行と関連していた(調整していない相対リスク2.18、95%信頼区間1.75-2.71)。そしてその関連性は、年齢、GFR、トリグリセリド、HDLコレステロールで調整したあとも有意のままであった(調整済み相対リスク[aRR]1.55、95%信頼区間1.23-1.95)。

非アルコール性脂肪性肝疾患により慢性腎臓病となるリスクが1.55倍になるという結果でした。

 

以前に、脂肪肝と心血管疾患(心筋梗塞、脳卒中など)との関連を検証した論文を紹介しました。今回は慢性腎臓病という、腎不全による死亡リスクも高くなる疾患との関連です。脂肪肝による他の疾患発症を防ぐために、予防策を練ることが得策かもしれません。

『NAFLD/NASH診療ガイドライン2014』では、「NAFLD/NASHではCKD発症のリスクが高率である」と記載されています。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Nonalcoholic fatty liver disease predicts chronic kidney disease in nonhypertensive and nondiabetic Korean men.

Metabolism. 2008 Apr

[PMID: 18328362]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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