◆過去の文献を検証
研究班は、経口避妊薬の使用と甲状腺がんのリスクの関連を調べた研究を文献検索によって集め、それらの内容を検証したうえ統合して統計解析しました。
◆甲状腺がん減少と関連
統合した解析から次の結果が得られました。
すべての研究からリスク推定量をプールしたのち、経口避妊薬の使用期間が最も短い群に対して、最も長い群で甲状腺がんのリスクに負の関連が見られ、リスク比は0.84(95%信頼区間0.73-0.97)であり、検討を要する不均一性は見られなかった(I2=26.1%)。
経口避妊薬を長期間使ったグループでは、甲状腺がんの発症が少なくなっていました。
この研究で情報源とした論文はすべて、対象者を追跡調査する方法の研究によるもので、この方法から得られた結果には、未知の要因が背景で働いた可能性が否定できません。経口避妊薬を使う人に、甲状腺がんのリスク減少と結び付くような背景がないかどうかは、結果を解釈するうえで考える必要があります。
もし経口避妊薬が原因で甲状腺がんが減ったのだとすると、経口避妊薬によるほかの影響とあわせて、使い方を考えるうえで重要な情報になるかもしれません。
執筆者
Linear reduction in thyroid cancer risk by oral contraceptive use: a dose-response meta-analysis of prospective cohort studies.
Hum Reprod. 2015 Jul 3 [Epub ahead of print]
[PMID: 26141711]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。