◆既存の研究を概観
この報告の著者は、現在までに使われている主な治療薬として、カルシウムサプリメント、ビタミンD製剤、ビスホスホネート製剤、デノスマブ、エストロゲン製剤、選択的エストロゲン受容体調節薬(SERM)、副甲状腺ホルモン製剤、ストロンチウムを挙げ、それらの効果と副作用についてのエビデンス(実際に起こった結果の報告)をもとに特徴を比較しています。
◆各種の治療薬を比較
それぞれの特徴として以下のような点が挙げられています。
- カルシウムサプリメント
- 骨折を防ぐ効果のエビデンスは非常に弱い
- 腎結石、心筋梗塞などを増やすという報告がある
- ビタミンD製剤
- 効果なしとしたメタアナリシスがある
- ビタミンDが不足している人に対して有効という報告がある
- ビスホスホネート製剤
- 骨折を防ぐという報告がある
- 副作用の疑いとして胃食道逆流、インフルエンザ様症状、腎障害、顎骨壊死、大腿骨非定型骨折などの報告がある
- デノスマブ
- 半年ごとの注射でよい
- 骨折を防ぐという報告がある
- 長期的に骨密度を増やす効果がビスホスホネートよりも大きい可能性がある
- 副作用の疑いとして蜂窩織炎、大腿骨非定型骨折、顎骨壊死、アナフィラキシーなどの報告がある
- エストロゲン製剤、SERM
- エストロゲン製剤は骨折を防ぐが、心血管疾患、乳がんのリスクを増やすという報告がある
- SERMは乳腺・子宮内膜にはエストロゲン拮抗作用、骨にはエストロゲン様作用があると考えられている
- SERMとエストロゲン製剤を組み合わせることで骨密度を増やしたという報告がある
- 副甲状腺ホルモン製剤
- 骨折を防ぐという報告がある
- 毎日注射する必要がある
- ストロンチウム
- 骨折を防ぐ効果がわずかにあるという報告がある
- 皮膚症状を起こすことがあり、また心筋梗塞を増やす疑いがある
ここでまとめられたとおり、骨粗しょう症治療薬にはさまざまな種類のものがあり、人によって適した治療薬を使い分けることが望ましいと考えられます。
なお、骨粗しょう症の治療については多くの報告があり、MEDLEYニュースでもいくつかを紹介しています。興味のある方はあわせてご覧ください。
「骨粗しょう症治療は過剰医療なのか?」
http://medley.life/news/item/5567e5a80bfa223201a86757
「骨粗しょう症の薬で糖尿病リスクが半分に!?」
http://medley.life/news/item/556bc91942e56fa1035256e0
執筆者
Efficacy, effectiveness and side effects of medications used to prevent fractures.
J Intern Med. 2015 Jun
[PMID: 25495429]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。