2015.06.04 | ニュース

子どものビタミンB12不足は発育に悪い?

インドの子どもにビタミン補充の試験

from Pediatrics

子どものビタミンB12不足は発育に悪い?の写真

葉酸とビタミンB12は子どもの発育に重要と考えられ、極度に不足すると巨赤芽球性貧血などの原因にもなります。子どもの栄養状態が悪いときには葉酸やビタミンB12も不足していることが考えられますが、そのことによってどのような影響があるのか詳しくはわかっていません。インドの子どもを対象にした研究から、健康状態の良くない子どもがビタミンB12を補充すると、身長と体重がよりよく増加したことが報告されました。

◆インドの3歳未満の子どもにビタミンを補充

研究班は次のように、インド北部の子ども1,000人に対して、ビタミンB12と葉酸を補充する試験を行いました。

インド北部の6か月から35か月の子ども1,000人に対して、推奨量の2倍の葉酸および/またはビタミンB12を1日1回6か月間摂取するか、偽薬を摂取するかについてのランダム化偽薬対照二重盲検試験を行った。

対象者は普通の食事に加えて

  • 葉酸とビタミンB12を飲むグループ
  • 葉酸と偽薬を飲むグループ
  • 偽薬とビタミンB12を飲むグループ
  • 偽薬を飲むグループ

にランダムに振り分けられました。

 

◆ビタミンB12補充で身長・体重改善

試験の結果、葉酸、ビタミンB12ともに全体として子どもの体重を増やす効果が見られ、特にビタミンB12について次の結果が得られました。

月齢に対する体重のz値および月齢に対する身長のz値は、衰弱した、低体重の、成長が遅延した子どもがビタミンB12を摂取したのちに有意に増加した。

試験開始時のビタミンB12摂取量は、ビタミンB12を補充しない群で身長および体重の増加と関連したが、ビタミンB12補充群では関連がなかった(相互作用に対してP<0.001)。

もともと低体重で健康状態の良くない子どもがビタミンB12を飲んだときに、身長と体重が改善する傾向が見られました。また、ビタミンB12を補充しない場合、試験開始前にビタミンB12摂取量が少ない子どもほどその後の身長と体重の増加が少ない傾向がありましたが、ビタミンB12を補充したあとでは、試験開始前のビタミンB12摂取量による違いが見られませんでした。

研究班はこれらの結果から、「ビタミンB12の不足は成長が悪くなる要因になることの根拠が示された。さらに多量の補充の効果を長期間にわたって調べ、この結果を確かめる研究を勧める」と述べています。

 

ビタミンB12がよりよい成長に必要である可能性が示されました。身長と体重だけでなく、より詳しく運動能力などさまざまな面から見たときに、ビタミンB12がどのように発育と関わっているのかも気になります。

なお、ビタミンはたくさん摂れば効果が増えるというものではなく、摂りすぎると有害になるものもあります。サプリメントを使われるときは用法・用量に注意し、特に治療中の病気があるときなどは医師に相談されることをお勧めします。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Vitamin B-12, folic acid, and growth in 6- to 30-month-old children: a randomized controlled trial.

Pediatrics. 2015 Apr

 

[PMID: 25802345]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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