2016.01.18 | ニュース

腸内環境の改善で、がん治療による副作用を抑えられる

がん患者61人に調査

from Clinical nutrition (Edinburgh, Scotland)

腸内環境の改善で、がん治療による副作用を抑えられるの写真

腸の健康は、全身の健康にもつながると言われています。腸を健康にする方法の1つに、シンバイオティクスという飲み物や薬などがあります。研究チームは、がん患者の化学療法による副作用に着目して、シンバイオティクスの効果を報告しました。

◆シンバイオティクスとは?

シンバイオティクスとは、プロバイオティクスとプレバイオティクスを一緒に摂ることです。

プロバイオティクスは、体に良い影響を与える微生物のことで、乳酸菌飲料がよく知られています。一方、プレバイオティクスは、腸内細菌のバランスを維持したり増殖を促すなどの役割を果たす食品のことです。

これらを合わせた食品や薬などのことを、シンバイオティクスと呼んでいます。

 

◆食道がん患者61人に対する比較調査

研究チームは、進行性食道がんの手術前に化学療法を予定している患者61人を対象としました。61人の対象者をランダムに、化学療法中にシンバイオティクスを受けるグループ(30人)と、シンバイオティクスを受けないグループ(31人)の2グループに分けました。

シンバイオティクスの有無によって、化学療法による副作用が現れるかどうかを調査しました。

 

◆シンバイオティクスで、食道がん患者の副作用が抑えられた

調査の結果、シンバイオティクスの有無による化学療法の副作用について以下のことが分かりました。

重度のリンパ球減少や下痢の頻度は、シンバイオティクスを受けたグループでは、コントロールのグループよりも有意に減少した(それぞれP=0.033、P=0.035)。

食道がん患者に対する研究からは、シンバイオティクスによって、化学療法によるリンパ球減少や下痢の副作用を抑えることが出来たことが示されました。

 

がんやシンバイオティクスの種類によって、化学療法による副作用への影響は変化する可能性があります。しかし、腸内環境を整えることが健康につながることは今までも多く報告されていることからも、シンバイオティクスが化学療法中に良い影響を与えることはある程度期待できるのかもしれません。

執筆者

鈴木あいか

参考文献

Randomized study of the effect of synbiotics during neoadjuvant chemotherapy on adverse events in esophageal cancer patients.

Clin Nutr. 2015 Nov 25. [Epub ahead of print]

[PMID: 26644166]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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