2015.12.03 | ニュース

出産、授乳、経口避妊薬は寿命に影響する?

322,972人のデータを分析

from BMC medicine

出産、授乳、経口避妊薬は寿命に影響する?の写真

妊娠や出産では、身体に変化が起きるものですが、健康にどのように影響するか、完全には知られていません。今回の研究では、出産に関わる経験が長期的な死亡率にどのような影響があるか検証しました。

◆出産イベントと死亡率の関係は?

今回の研究では、ヨーロッパで行われた調査に参加した女性322,972人を対象に、出産イベントの経験と死亡率の関連性を検証しました。

 

◆出産、母乳での授乳、経口避妊薬の使用を経験していると死亡率が低い!?

以下の結果が得られました。

すべての原因による死亡のハザード比(95%信頼区間)は、出産経験のない女性と比較して経験したことある女性では0.80(0.76-0.84)、母乳による授乳を経験していない女性と比較して経験したことがある女性では0.92(0.87-0.97)、経口避妊薬を使ったことがない女性と比較して使ったことがある女性では0.90(非喫煙者間、0.86-0.95)、初潮年齢が遅い女性では0.90(12歳未満と比較して15歳以上、0.85-0.96、pトレンド0.038)と、より低かった。

出産経験がある場合、母乳での授乳経験がある場合、経口避妊薬の使用経験がある場合、初潮年齢が遅い場合では、死亡率が低いという結果でした。

 

今回の研究では、出産に関わるイベントと死亡率が直接関連しているかは不明です。これらの背景には、例えば出産できる環境などが関係している可能性も考えられますので、出産や授乳ができなかった人にとって、生活環境や歳を取ってからの病気などのうち、どの要素が重要なのかを明らかにするには、別の研究が必要です。今後の検証によってより明らかになることを期待します。

なお、今回の研究では経口避妊薬の使用経験が死亡率と関連しているという結果でしたが、経口避妊薬は女性ホルモンのバランスを整えることで健康に良い面が知られている一方、過剰使用は血栓症などの副作用を引き起こす可能性も考えられます。使用する場合は、医師の指示に従ってください。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Reproductive factors and risk of mortality in the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition; a cohort study.

BMC Med. 2015 Oct 30

[PMID: 26515238]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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