2015.09.27 | ニュース

難病ライソゾーム病による肝障害を治療、セベリパーゼα

66人のランダム化試験

from The New England journal of medicine

難病ライソゾーム病による肝障害を治療、セベリパーゼαの写真

遺伝的に酵素の働きに異常があり、分解されるべき物質が蓄積する「ライソゾーム病」と総称される病気のひとつ、ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症では肝硬変など肝臓のダメージが引き起こされます。酵素を補充する治療の研究が行われました。

◆セベリパーゼαによる酵素補充療法

この研究では、ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症で足りない酵素の働きを補う酵素補充療法として、セベリパーゼαの点滴を2週間ごとに行う治療の効果が検討されました。

対象者66人はランダムに2つのグループに分けられ、一方ではセベリパーゼαを使い、他方では偽薬を使うことで、肝臓の検査値の変化を比較されました。

 

◆セベリパーゼαで検査値改善

次の結果が得られました。

20週で、ALTの値が正常範囲にあった患者はセベリパーゼα群の36人中11人(31%)、偽薬群では30人中2人(7%、P=0.03)で、ベースラインからの平均変化量は-58U/l対-7U/lだった(P<0.001)。

有害事象の起こった患者の数は2群で類似し、ほとんどは軽度で、研究者により治療と関係がないものと判断された。

20週でセベリパーゼαを使ったグループの肝臓の検査値は偽薬群よりも改善し、31%は正常範囲になっていました

 

ライソゾーム病の治療は、その中で区別される病気の種類によって違いますが、方法が限られているのが現状です。セベリパーゼαの効果についてこのデータが得られたことは、ライソゾーム酸性リパーゼ欠損症の患者にとって、治療を考えるうえでの貴重な情報になるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

A Phase 3 Trial of Sebelipase Alfa in Lysosomal Acid Lipase Deficiency.

N Engl J Med. 2015 Sep 10

[PMID: 26352813]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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