2015.09.17 | ニュース

アメリカでペストが流行中!流行地域、予防法、症状は?

11人に発症、3人が死亡

from MMWR. Morbidity and mortality weekly report

アメリカでペストが流行中!流行地域、予防法、症状は?の写真

歴史上膨大な死者を出してきた感染症のペストが、2015年にはアメリカで近年にない頻度で報告されています。アメリカ疾病管理予防センターの報告で、3人の死者について、また予防のための情報が提示されました。

◆2015年4月以降の3人の死者

2015年のアメリカのペスト患者について、次のように報告されています。

2015年4月1日以降、計11人のペストの症例が、6州の住民について報告された:アリゾナ州から2人、カリフォルニア州から1人、コロラド州から4人、ジョージア州から1人、ニューメキシコ州から2人、オレゴン州から1人。ジョージア州とカリフォルニア州の住民についての2例は、カリフォルニア州のシエラ・ネバダ山脈南部にあるヨセミテ国立公園で、またはその近辺での曝露と結びつけられた。11人の患者のうち9人が男性だった。年齢の中央値は52歳(範囲14歳から79歳)だった。3人の患者が死亡し、年齢は16歳、52歳、79歳だった。

4月1日以降、アメリカ西部の州に住んでいた人を中心に、ペストを発症した人が11人、そのうち死亡した人が3人いました。ヨセミテ国立公園周辺で感染したと見られる人が2人いました。患者の年齢は14歳から79歳までにわたり、11人のうち9人は男性でした。

なお、この報告がまとめた期間よりもあとで、さらに1人の死者が報告されています。

 

◆予防、症状は?

この報告では、以下のような予防・治療についての情報が挙げられています。

ペストの原因であるペスト菌(エルシニア・ペスティス)は、アメリカ西部にはネズミの体についたノミなどに媒介されながら存在し、人間がノミに吸血されることなどで感染すると言われています。

特徴的な経過として、ペスト菌に触れてから2日から6日の潜伏期間ののち、突然始まる発熱とだるさ、場合によって腹痛や嘔吐、リンパ節が痛みをともなって腫れるなどの症状が現れるとされています。

治療されなかった場合は死亡率が66%から93%にのぼり、抗菌薬によるすみやかな治療で救命の見込みが大きくなるとされています。

感染の可能性がある地域に住む人や旅行する人に向けて、次の注意が特に記されています。

ペストの流行がある地域で野外活動を行う人は、可能な限り長ズボンをはいて、虫よけ剤を皮膚の上から、また服の上からも使うべきである。病気の動物や死んだ動物に直接接触することは避けるべきであり、決してリス、シマリスやその他のげっ歯類にエサを与えるべきではない。

野外活動を行うときには長ズボンをはき、虫よけ剤を皮膚にも服の上からも使うこと、病気の動物や死んだ動物に触れるのを避けること、リスにエサを与えないことなどが注意されています。

 

連休などを利用して海外旅行に行く機会があるかもしれませんが、行き先の感染症流行情報をあらかじめ調べて適切な対策を取ることは重要です。

ペストについて、そのほか詳しい情報は疾病管理予防センターのウェブサイトにもあります(英語、 http://www.cdc.gov/plague/healthcare/clinicians.html )。簡単な説明はメドレーにもありますので、あわせてご覧ください。

「ペストの症状・原因・治療」

http://medley.life/diseases/item/5563af755dd5c76c017952b1

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Human Plague - United States, 2015.

MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2015 Aug 28

[PMID: 26313475] http://www.cdc.gov/mmwr/preview/mmwrhtml/mm6433a6.htm

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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