2015.05.21 | ニュース

日光に当たらないと膵臓がんになりやすい!?

米研究チームが国際がん研究機関のデータベースをもとに解析

from The Journal of steroid biochemistry and molecular biology

日光に当たらないと膵臓がんになりやすい!? の写真

日光を浴びるとビタミンDが活性化されることが知られていますが、近年、ビタミンDの欠乏が様々ながんに影響するのではないか?と広く議論されています。今回の研究では、日光(紫外線)の量と膵臓がんの関連性を、国際がん研究機関のデータベースを用いて検証しています。その結果、日光照射が少ない国では膵臓がんになるリスクが高かった、という関連が示されました。

◆国別に日光(紫外線)と膵臓がん発症を調査

この研究では、国際がん研究機関のデータベースを用いて以下のことを行いました。

年齢標準化膵臓がん発生率を国際がん研究機関のデータベースであるGLOBACAN 2008から得た。

回帰分析を用いて、膵臓がんの年齢標準化発生率と雲の量で調整したUVB照度の関連性を検証した。

日光に含まれる紫外線B波の量を国ごとに算出し、膵臓がんの発生率との関連性を検証しました。

 

◆UVBが小さい国では膵臓がんの発生率が高い

調査の結果、以下のことがわかりました。

全体を通して、雲量調整UVB照度が低いほと、膵臓がんの発生率は高かった。

UVB照度が低い国の居住者は、UVB照度が高い国の居住者の約6倍の発生率であった。

この関連性は、膵臓がんのリスク因子としてこれまで報告されてきた因子を調整しても、同じ結果であった。

つまり、日光量が少ない国や場所では、膵臓がんが多い、という結果でした。

筆者らはこの結果をうけて、「UVB照度が低い国のビタミンD欠乏と膵臓がんの逆相関は矛盾していない」と述べ、膵臓がんの減少におけるビタミンDの役割について、致死的な疾患の予防に有用な方法が広がることを期待しています。

 

今回の研究では、日光量と膵臓がんの関連性に影響する要因の存在が多くありそうです。研究チームでは、そのうちいくつかの要因(動物性タンパク質の摂取量、肥満や糖尿病の割合など)を検討していますが、その他にも関連しそうな要因はあるかもしれません。

がん予防のために日光浴を、と考えるのはまだ早そうですが、日光は日々の生活と深く関係するだけに、気になる研究です。

執筆者

MT

参考文献

Cloud cover-adjusted ultraviolet B irradiance and pancreatic cancer incidence in 172 countries.

J Steroid Biochem Mol Biol. 2015 Apr 9

[PMID: 25864626]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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