2015.05.12 | ニュース

メープルシロップの意外な相乗効果が細菌に効く?

カナダの研究チームが抗菌薬の効き目を高める成分を報告

from Applied and environmental microbiology

メープルシロップの意外な相乗効果が細菌に効く?の写真

メープルシロップから抽出されたエキスの細菌に対する思わぬ効果が、カナダのマギル大学の研究者らによって明らかになりました。この研究結果が実用化されるようになれば、抗菌薬の長期服用による耐性菌のリスクを減らすことも可能となると考えられています。

◆ポリフェノール系の抽出エキスが病気の元となる細菌群を破壊

マギル大学の研究者らは、カエデの樹液を濃縮したメープルシロップからポリフェノールの成分エキスを抽出し、大腸や尿路、呼吸器などに感染を引き起こす原因となる細菌(大腸菌、ミラビリス変形菌、緑膿菌)に対してどのような効果が得られるか実験を行いました。

 

◆抗菌薬との併用による相乗効果が明らかに

実験の結果、以下のことが報告されました。

抽出した成分単体でも菌の増殖を抑えるのに効果を示したが、抗菌薬と組み合わせた際により強力な相乗効果が見られた。特にカテコールというフェノール系成分が、バイオフィルムといわれる細菌群の形成を減らし、さらに抗菌薬との高い相乗効果を示した。

研究に携わった著者の一人は「実際に人間に効果があるか確かめるためには、今後、生体内で実験後、臨床試験を行っていく必要がある。しかし、この調査結果は抗菌薬の使用を減らすための効果的な方法と可能性を示している」と述べています。
( 参照:http://www.mcgill.ca/newsroom/channels/news/could-maple-syrup-help-cut-use-antibiotics-246929 )

 

今回の発表は生体実験の前段階での報告ですが、今後実用化に向けた臨床試験で、細菌感染症に対する効果を確認することができれば、耐性菌の問題を解決する大きな糸口となるかもしれません。今後の研究の進展に期待が寄せられています。

それにしても、メープルシロップの本場であるカナダからこのような報告があるのはとても面白いですね。

執筆者

sato

参考文献

Polyphenolic Extract from Maple Syrup Potentiates Antibiotic Susceptibility and Reduces Biofilm Formation of Pathogenic Bacteria.

Appl Environ Microbiol. 2015 Mar 27

[PMID: 25819960] http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25819960

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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