のどのいたみ
喉が痛い(数日以内)

溶連菌(ようれんきん)とは?検査でわかるの?

溶連菌の正式名称は溶血性連鎖球菌と言います。

なぜ連鎖球菌というかというと、菌が連なって鎖のように見えることからこの名前が付けられました。

それでは溶連菌について説明していきましょう。

 

1. 溶連菌とはどんな菌なのでしょう?

 

溶連菌が感染を起こすと非常に激しい症状が出てきます。

全身に重症かつ多彩な症状を起こし、時に致死的になるので注意が必要です。

溶連菌感染症の症状に関しては、「溶連菌感染症の症状。咽頭炎の喉の痛み、いちご舌、発疹、腹痛」で詳しく説明します。

 

溶連菌は不思議な存在です。

溶連菌は感染すると全身に強い症状が出るのですが、その一方で喉や腸といった人体の様々な部位で常在菌(ただいるだけで感染を起こさない細菌)としても存在します。そのため、感染を疑って培養検査を行って溶連菌が出てきたとしても、必ずしも溶連菌が感染源(感染の犯人)とは限りません。

そのため溶連菌の感染に関しては、症状の様子と溶連菌がいるのかどうかを判定する検査の両方から総合的に判断する必要があります。

喉が痛い人に行った検査で溶連菌が検出されても、実はウイルスによる単なる喉風邪であったということも多くあります。

この判断は患者側でする必要はありませんが、溶連菌に感染にするとどういったことになるのかは知っておいて損はありません。

そうすることで、溶連菌感染症が疑わしいから病院に行こうという判断ができるようになります。

 

2. 溶連菌は身体のいろいろなところに住み着いている(常在菌)

 

溶連菌は人間の身体に住み着いています。一体どこにいるのでしょうか?

以下に挙げるものが、主な身体の部位になります。

 

  • 喉(のど)
  • 気管
  • 女性器

 

基本的に、溶連菌はいるべきところにいる分には感染を起こしません。ですが、新生児・高齢者・糖尿病のある人・がんを抱えている人などでは、常在菌の溶連菌が感染を起こしやすいので注意が必要です。

 

3. 溶連菌に感染すると治ったあとにも病気が襲ってくることがある

 

溶連菌に感染すると、感染が治癒した後に病気がさらに遅てやってくることがあります。

代表的な病気として、リウマチ熱急性糸球体腎炎の2つがあります。

このページでは簡単に2つの病気を説明しますが、詳しく知りたい方は「溶連菌感染症のあとに注意するべきことは?溶連菌腎炎、リウマチ熱とは?」のページをご覧になって下さい。

 

リウマチ熱

リウマチ熱はリウマチという名前がついていますが、いわゆる関節リウマチとは異なります。

心臓の筋肉や逆流防止弁や血管に炎症が起こって、心臓がダメージを受けてしまします。

小学生の時期に多く起こります。

リウマチ熱は溶連菌感染が起こった2-4週後に起こるので、感染自体はもう治まっている時に症状が出てくることがほとんどです。

リウマチ熱になると再発することがあるので、その予防のためにペニシリンを少なくとも大人になるまで飲むことになります。

 

急性糸球体腎炎

 

急性糸球体腎炎になると腎臓の機能が急速に悪くなります。

症状としては、むくみや血圧の上昇が起こります。

急性糸球体腎炎は溶連菌感染が起こった2-4週後に起こるので、感染自体はもう治まっているころに症状が出てくることがほとんどです。

 

これらの病気になると治療が長く続くこともあり大変ですので、溶連菌感染症にならないようにすることが重要です。

そのためには、手洗とうがいを徹底すると良いです。

 

次に溶連菌感染を疑ったらどういった検査を行うのか説明していきます。

 

4. 溶連菌感染を見つけるための検査

 

溶連菌感染を疑って医療機関にかったら検査をされることがあります。

一体どういった検査をされるのでしょうか?

 

A群β溶連菌迅速検査キット

溶連菌の中でも、A群β溶連菌という毒性の一番強い菌がいるのかどうかを判別する検査です。

綿棒で喉の奥や扁桃腺をこすって得られたものを使って検査します。

スピーディーに結果がわかることがメリットで、10分弱で検査の結果が出ます。

 

培養検査

 

A群β溶連菌だけでなく全ての溶連菌を検査できます。

綿棒で喉の奥や扁桃腺をこすって得られたものを使って検査します。

結果が出るまでに24-48時間ほどかかります。

 

検査しなくても良いと判断される人

実は症状からA群β溶連菌感染が疑わしいのかどうかの判断基準があります。

ここで注目する症状は以下のものになります。

 

  1. 38度以上の熱がある
  2. 咳(せき)がない
  3. 喉の奥にある扁桃腺に白い付着物(白苔)がある
  4. 首の前側のリンパ節が腫れており、押すと痛みがある

 

この4項目の中で何項目該当するかで、感染しているかのおよその確率が計算できます。この計算方法を考えたCentor(センター)医師の名前をとって、この式はセンタースコアと呼ばれています。

【センタースコアとA群β溶連菌感染症確率】

センタースコアの該当点数

A群β溶連菌感染症の確率

0

2-3%

1

4-6%

2

10-12%

3

27-28%

4

38-63%


この計算式で1点以下の人は溶連菌感染症の可能性は低いと考えて、検査も治療も行わないとなります。
また、反対に4点の人は高確率で溶連菌感染症と考えて検査を行わずに治療薬(抗生物質:ペニシリン)を飲むということがあります。
そのため、検査を行うのはセンタースコアで2点か3点の人になることが多いです。