のどのいたみ
喉(のど)の痛み

喉の痛みに効く薬にはどんなものがある?喉が痛いときには抗生物質を飲んだほうが良いのか?

喉の痛みを取るには薬が有効です。それらには、抗生物質とそれ以外の薬があります。詳しく説明していきましょう。

 

1. 喉の痛みに効く抗生物質

 

まず大前提として、抗生物質は感染症の治療薬です。

抗生物質は細菌による感染に対して有効ですが、ウイルスによる感染に対しては無効です。

大人の喉の痛みの原因が細菌による感染である確率は、およそ30%といわれています。

つまり、喉の痛みのある70%の人には抗生物質は有効でないことには注意が必要です。

 

さて、喉の痛みに効く抗生物質はどんなものなのか考える前に、喉に感染を起こす敵(細菌)がどんなものなのかを考える必要があります。

それを見定めることで、有効な抗生物質が何なのかが見えてきます。

 

喉の痛みを起こす細菌とは?

 

喉の痛みを起こす細菌で最も有名なものは溶連菌(溶血性連鎖球菌)です。

しかしそれ以外にも多くの細菌が喉の痛みを起こします。

以下が喉の痛みを起こす細菌の主なものです。

 

  • 溶連菌(溶血性連鎖球菌)
  • フソバクテリウム
  • マイコプラズマ
  • 淋菌
  • クラミジア

 

この中でも淋菌とクラミジアの感染はいわゆる性病になります。

これを判断するには、どういった性生活を行っているのかという情報が非常に重要になります。

性病に関して詳しく知りたい方は、性病のまとめサイトにある情報を参考にして下さい。

 

2. 喉の痛みにはどんな抗生物質を使えば良い?

 

喉の痛みに効く抗生物質は、上の章で挙げた細菌に対して有効なものになります。

以下にその例を挙げていきます。

 

  • アモキシシリン(サワシリン®、パセトシン®)

古くから使われているペニシリン系の抗生物質になります。

溶連菌の感染に非常に有効な抗生物質になります。

1日に3-4回飲む必要があります。

 

  • セファレキシン(ケフレックス®)

アモキシシリンと並んで溶連菌に強い抗生物質になります。

フソバクテリウムにも効果が期待できます。

1日に4回飲む必要があります。

 

  • セフトリアキソン(ロセフィン®)

溶連菌や淋菌に効果を発揮します。

特に淋菌ではこの薬が有効ですが、飲み薬ではなく点滴の薬になります。

 

  • クリンダマイシン(ダラシン®)

アモキシシリンやセファレキシンほどではないですが、溶連菌に強い抗生物質です。

フソバクテリウムにも効果があります。

ペニシリンにアレルギーが有る場合に使う場合が多いです。

1日に3-4回飲む必要があります。

 

  • レボフロキサシン(クラビット®)

現在、溶連菌や淋菌に対しては有効性があまり高くないですが、マイコプラズマ・クラミジアに対しては高い効果を発揮します。

多くの場面で使われているため、近年有効性が低下する(耐性菌が増える)現象が起こってしまっています。

クラビットに関して詳しく知りたい方は、クラビット500mg(レボフロキサシン)が効かない病気は?副作用はあるの? を参考にして下さい。

1日に1回飲むだけで良いです。

 DNAの合成を阻害するこの薬の特徴から、妊婦が飲むのは避けなくてはなりません。

 

  • クラリスロマイシン(クラリス®)

マクロライド系と呼ばれる抗生物質になります。

多くの場面で用いられているため、溶連菌や淋菌やマイコプラズマに対する有効性は、現在のところ低下してしまっています。

クラミジアの治療に用いることになります。

クラリスロマイシンに関して詳しく知りたい方は、クラリスロマイシン(クラリス®、クラリシッド®)が効かない?効果や副作用を考えるのページを参考にして下さい。

1日に2回飲む必要があります。

 

  • アジスロマイシン(ジスロマック®)

クラリスロマイシンと同じくマクロライド系と呼ばれる抗生物質になります。

アジスロマイシンも多く使われるために有効性が落ちてきています。

溶連菌や淋菌やマイコプラズマに対しては有効性が低いので、クラミジアの治療に用います。

1日に1回飲むだけで良いです。

 

  • ミノサイクリン(ミノマイシン®)

テトラサイクリン系と呼ばれる抗生物質になります。

近年、溶連菌や淋菌は効かなくなりつつありますが、マイコプラズマやクラミジアに対して有効です。

1日に2回飲む必要があります。

また、8歳未満の小さい子供がこの薬を飲むと歯に色が染みついてしまうことがあるので避けたほうが良いでしょう。

 

また、喉の痛みには抗生物質以外の薬を使うことも多いです。

次の章では抗生物質以外の薬について説明します。

 

3. 喉の痛みに効く抗生物質以外の薬

 

抗生物質以外にも喉の痛みに効く薬は多く存在します。

喉の痛み(咽頭痛)の原因は細菌やウイルスの感染など様々です。

例えば溶連菌感染症のように細菌が原因の病気には、抗菌薬(抗生物質)による治療が中心になりますが、その他に喉の痛みや腫れ、発熱といった症状を抑えるための対症療法の薬が使われる場合もあります。

ここでは喉の痛みや炎症を和らげる効果が期待できる薬について解説します。

 

喉の腫れや痛みを抑える薬

◎トラネキサム酸(商品名:トランサミン®など)

喉の腫れや痛みに対して改善効果が期待できます。

細菌やウイルスの感染、外部の刺激などによって増えたプラスミンは、炎症や痛みなどを引き起こす原因となるヒスタミンやブラジキンといった体内物質を増やしてしまいます。

トラネキサム酸は抗プラスミンを抑えることにより、炎症や痛みなどを抑える作用をあらわします。

トラネキサム酸製剤には、カプセル剤や錠剤以外にも、散剤(粉薬)(トランサミン散50%など)やシロップ剤(水薬)(トランサミンシロップ5%など)があり、喉が痛くて飲み込むのがつらい時でも、比較的飲みやすい形のものが用意されています。

 

発熱や痛みを和らげる薬

◎ロキソニンなどのNSAIDsと呼ばれる種類の薬について〜効果や注意すべき副作用など〜

解熱鎮痛薬と呼ばれる薬の多くはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)と呼ばれる種類に分類されます。

NSAIDsは主に体内で痛みや発熱、炎症などを引き起こす要因となるプロスタグランジンという物質の働きを抑えることで、解熱鎮痛作用や抗炎症作用などをあらわす薬です。

 

処方薬(医療用医薬品)だけでなく市販薬(OTC医薬品)としてもよく使われているロキソプロフェンナトリウム(商品名:ロキソニン®など)やイブプロフェン(ブルフェン®など)といった薬もNSAIDsに分類されます。

鎮痛薬として有効なため非常に多くの場面で使われている一方で、注意すべき副作用もあります。

 

  • 胃を守る働きを持つ胃粘膜を減らしてしまうことによる胃痛などの胃腸の症状
  • 気管支を狭めてしまうことにより咳などを引き起こす呼吸器の症状
  • 腎機能の低下による浮腫みや尿量の低下

 

これらの副作用が出てしまった時は薬を変更しなくてはなりません。NSAIDsの副作用に関しては、コラムで詳しく解説していますので参考にしてください。

 

また、NSAIDsは年齢などによって使用制限を受けるものもあります。

例えばロキソプロフェンナトリウムの飲み薬では、原則として「子どもに使えない」「妊娠末期の妊婦へ使えない」といったように規定されていて、これらに関しても注意が必要です。

 

ロキソプロフェンナトリウム(飲み薬)では妊娠末期以外の妊婦でも、医師により治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合に限り使用することとなっています。

 

◎高い安全性を持つ解熱鎮痛薬のアセトアミノフェン(商品名:カロナール®など)

 

アセトアミノフェンはNSAIDsとは少し異なる仕組みで痛みや発熱などを抑える薬です。(NSAIDsとアセトアミノフェンの違いに関しては、コラムで詳しく解説しています)

鎮痛効果は一般的なNSAIDsに比べると劣りますが、比較的高い安全性があり子どもから高齢者まで幅広い年齢で使えるのがメリットになります。

妊婦の身体への負担が少ないとされ、「医師の診断の下で使用に対して有益性が危険性を上回る場合」などの条件はつきますが、妊婦でも使用可能な薬になっています。

 

喉の痛みが特徴の一つである溶連菌感染症は大人でもかかる病気ですが、患者の多くは子どもです。

ロキソプロフェンナトリウムなどのNSAIDsは年齢によって使用が制限されることもあり、子どもに対する解熱鎮痛薬としてアセトアミノフェンは非常によく使われています。

また喉が痛くても比較的飲みやすいシロップ剤(水剤)(カロナールシロップ2%など)やお尻から挿入する坐薬(アンヒバ®、アルピニー®など)もあり、嚥下(えんげ:飲み込むこと)能力や症状などによって選択できるのもメリットです。

 

アセトアミノフェンはNSAIDsと比べても安全性が高く、胃痛などの消化器症状があらわれにくいですが、長い間飲み続けた場合の肝機能障害には注意が必要とです。

肝炎などの肝疾患を持病で持つ人や肝機能の低下を健康診断などで指摘されたことがある人は念のため注意が必要です。

 

喉の痛みに効果が期待できる漢方薬

 

喉の痛みや腫れに対しては漢方薬が有用になることがあります。

漢方医学では体のある一部分だけでなく全身の状態から診断し、症状や体質などに合わせた薬を選択するのが一般的です。

全身のバランスを改善することにより複数の症状に対して効果が期待できるため、喉の痛みや腫れ以外にも複数の症状があらわれている場合には漢方薬は重宝されます。

ここでは喉の痛みや腫れなどの症状に効果が期待できる代表的な漢方薬をいくつか挙げて解説します。

 

◎葛根湯(カッコントウ)

風邪を引いたらカッコントウ」という言葉も聞かれるように、引き始めの風邪の症状によく使われます。もう少し詳しくみていくと、寒気や発熱、頭痛、肩こりといった症状を伴う場合に適するとされます。

風邪扁桃炎以外にも肩こり、片頭痛偏頭痛)、蕁麻疹じんましん)などの皮膚疾患というように多くの症状や病気に対して効果が期待できる漢方薬です。

 

◎桔梗湯(キキョウトウ)

喉の腫れや痛みがあり、飲み込みにくさや軽い発熱、咳などがある場合に適するとされます。

構成生薬である桔梗(キキョウ)と甘草(カンゾウ)は鎮痛、抗炎症などの作用をあらわし、喉の腫れや痛みに効果が期待できます。

扁桃炎咽頭炎の初期や比較的症状が軽度の場合に使われることが多く、炎症や発熱が比較的強く、頭痛や肩こりなどを伴う場合には葛根湯(カッコントウ)と一緒に使われることもあります。

 

◎小柴胡湯加桔梗石膏(ショウサイコトウカキキョウセッコウ)

風邪などによって喉の腫れや痛みがあり、微熱や脇腹や胸の苦しさを伴うような場合に適するとされます。

特に扁桃炎などが習慣的になって、慢性的に急性の炎症を繰り返したり、咽頭痛が続くような場合に有用とされています。

また細菌性の喉の炎症において抗菌薬(抗生物質)と一緒に使ったり、抗菌薬で効果が不十分であった場合にも有用とされています。

 

他にも葛根湯にも含まれる麻黄(マオウ)を含み、葛根湯に比べると体力が虚弱で悪寒や微熱などを伴うような症状に適するとされる麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)なども喉の痛みに対して有用な漢方薬です。葛根湯などとの漢方薬の使い分けに関してはコラム:「風邪をひいたら葛根湯」は正しくないかもしれない??をご参照下さい。

 

一般的に漢方薬は安全性が高く、体質や症状に合う薬を使えば有益な効果が期待できます。ただし、副作用が少ないといっても全くないわけではなく、自然由来の生薬成分自体が体質や症状に合わなかったりすることもあります。

例えば、生薬の麻黄(マオウ)は交感神経を興奮させることで咳を鎮めたり、関節痛などを和らげたりする作用をあらわしますが、過度に作用があらわれると動悸や不眠などを引き起こす可能性もあります。

また頻度は非常に稀ですが、小柴胡湯(ショウサイコトウ)などの漢方薬によって間質性肺炎が引き起こされたという報告もあります。

自身の体質や症状に合った漢方薬を適切に使うことが大切です。