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緊張型頭痛に効く薬はある?市販薬と処方薬の例

緊張型頭痛は身体的なストレスや精神的なストレスが複雑に関係して発生します。痛みがあるときの治療には痛み止めの薬があり、また再発予防のために使う薬もあります。薬の注意点もあわせて説明します。

1. 頭痛に市販薬は効く?

緊張型頭痛は、病院で診察を受けて治療するべき頭痛です。しかし、頭痛に効果が期待できる薬は市販されています。診察を受ける前にすぐに対処したいときは市販薬が役に立つ場面もあるでしょう。

ここでは緊張型頭痛を含めて頭痛に効果がある市販薬を紹介します。

バファリンA

画像:バファリンAのパッケージ写真。

バファリンAの成分はアスピリンです。アスピリンは別名でアセチルサリチル酸とも言います。アスピリンは頭痛などの痛みに効果があります。

バファリンAと小児用バファリンCIIの違い

画像:小児用バファリンCIIのパッケージ写真。

小児用バファリンCIIは子供の頭痛にも使える薬です。

バファリンAと同じ「バファリン」の名前を持つ薬でも、小児用バファリンCIIの主な成分はアセトアミノフェンです。アスピリンは、15歳未満の子供に対しては特に必要があって処方された場合にだけ使われる薬です。このため、市販薬では大人が使う薬と子供が使う薬で成分を変えているのです。

女性向けのバファリンルナi

画像:バファリンルナiのパッケージ写真。

女性の生理痛・頭痛を主なターゲットとしているバファリンルナi(アイ)は2種類の有効成分が配合されています。

  • イブプロフェン
  • アセトアミノフェン

さらに鎮痛効果を助ける成分(鎮痛補助成分)としてカフェインを、また胃を副作用から保護する成分として水酸化アルミニウムを配合しています。

ロキソニンS

画像:ロキソニンSのパッケージ写真。

市販薬のロキソニン®Sはロキソプロフェンナトリウムを主成分としています。

ロキソプロフェンナトリウムは病院で処方されるロキソニン®錠と同じ成分です。痛み、発熱、炎症を抑える効果があります。

以下の市販薬はロキソプロフェンナトリウムを含んでいます。

ロキソニンSプラス

画像:ロキソニンSプラスのパッケージ写真。

ロキソニン®Sプラスは、ロキソニン®Sの成分に加えて、胃を守る成分として酸化マグネシウムを「プラス」した薬です。普通のロキソニン®Sに比べると「胃に優しい」薬ということになります。

とはいえ、胃に負担がかかるロキソプロフェンナトリウムが主成分であることは変わりません。「胃に優しい」と言っても、決められた用法・用量を守らなければ副作用が出る危険性も高くなります。

ロキソニン®Sプレミアム

画像:ロキソニンSプレミアムのパッケージ写真。

ロキソニン®Sプレミアムは、計4種類の有効成分を配合しています。

  • ロキソプロフェンナトリウム
  • アリルイソプロピルアセチル尿素:鎮痛効果を高める
  • 無水カフェイン:鎮痛補助効果をあらわす
  • メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:胃を守る

ロキソニン®Sプレミアムは2016年4月に新たに発売されてロキソニン®シリーズに加わりました。4種類の成分による効果が期待できます。

カフェインを含むため依存性や不眠などの副作用には注意が必要です。

ノーシンシリーズ

画像:ノーシン錠のパッケージ写真。

頭痛や生理痛に対してよく使われている市販の痛み止めにノーシンがあります。ノーシン(散剤)とノーシン錠の主な成分は3成分です。

  • アセトアミノフェン
  • カフェイン水和物
  • エテンザミド

この3成分の組み合わせのことを、アセトアミノフェンAcetaminophen、カフェイン(カフェイン水和物)Caffeine、エテンザミドEthenzamideの頭文字をとって「痛みや熱に対してのACE処方(エースしょほう)」と呼ぶこともあります。

ノーシン(散剤)もノーシン錠も、主成分は同じ3成分です。

画像:ノーシン散剤のパッケージ写真。

その他の市販の痛み止め

画像:リングルアイビーのパッケージ写真。

この他、市販の痛み止めにはリングル®アイビー、ナロンエースなどいろいろなものがあります。多くは上で挙げたような鎮痛成分を主成分としています。

画像:ナロンエースのパッケージ写真。

2. 緊張型頭痛に漢方薬は使う?

頭痛に対して次のような漢方薬が使われることがあります。

  • 釣藤散(チョウトウサン)
  • 呉茱萸湯(ゴシュユトウ)
  • 桂枝人参湯(ケイシニンジントウ)
  • 五苓散(ゴレイサン)
  • 川芎茶調散(センキュウチャチョウサン)
  • 葛根湯(カッコントウ)
  • 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
  • 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)
  • 半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)
  • 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)

特に頭痛予防で使われる薬(抗てんかん薬など)の副作用が出たり、薬に対してアレルギー体質があって使える薬が制限される場合などに、漢方薬が有用となる場合があります。

漢方薬の多くは、処方薬と同じ生薬を含むものを市販薬として処方箋なしで買えます。

釣藤散(チョウトウサン)

釣藤散は特に高血圧気味であったり、耳鳴りを伴うような証に適するとされている漢方薬です。「証」(しょう)とは個々人の体質や状態を表す言葉です。

比較的少量ですが甘草(カンゾウ)を含むため、甘草による副作用には特に注意が必要です。

甘草はごくまれに、偽性アルドステロン症やミオパチーを起こします。偽性アルドステロン低カリウム血症浮腫など、ミオパチーは脱力感などを現します。甘草に含まれるグリチルリチンが原因です。グリチルリチンを含む製剤(グリチロン®錠など)の飲み合わせにはいっそう注意が必要です。

呉茱萸湯(ゴシュユトウ)

呉茱萸湯は片頭痛、緊張性頭痛など慢性頭痛に効果が期待できるとされています。

特に頭痛発作の時に吐き気を伴ったり、首などのこり、めまい、手足の冷えを伴うような頭痛に対しての効果が期待できるとされています。

比較的体力の低下や冷えがある人で、反復性に起こる激しい頭痛を訴えるような証に適するとされます。呉茱萸湯に含まれている呉茱萸(ゴシュユ)は鎮痛、鎮静、身体を温めるなどの効果が期待できる生薬です。

桂枝人参湯(ケイシニンジントウ)

桂枝人参湯は慢性頭痛に対して効果が期待できます。

比較的体力が低下していて、冷えがあり、胃腸が弱く食欲不振や吐き気があったり、疲労を伴うような証に適するとされている漢方薬です。

一般的には呉茱萸湯が適するとされる証よりも体力が低下気味な証に適するとされます。

桂枝人参湯には、健胃作用などをあらわす桂皮(ケイヒ)が含まれています。桂皮はシナモンとして調味料としても使われている生薬です。食欲不振や慢性胃炎などの改善効果のほか、熱や痛みなどに対しても改善効果が期待できます。

桂枝人参湯は5種類の生薬からできています。

  • 桂皮
  • 人参(ニンジン)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 乾姜(カンキョウ)
  • 蒼朮(ソウジュツ)

甘草を含むため、副作用として偽性アルドステロン症などへの注意は必要となります。

五苓散(ゴレイサン)

五苓散は片頭痛や血液透析に伴う頭痛などに効果が期待できるとされ、口の渇きや尿量の減少などを伴うような証に適するとされている漢方薬です。

下痢を抑える止瀉(ししゃ)作用、体に水が貯留している状態での利水作用、唾液分泌が減った状態の口の渇きに対する作用などをあらわします。

川芎茶調散(センキュウチャチョウサン)

川芎茶調散は頭痛全般に効果が期待できます。中でも風邪の引き始めに引き起こされる頭痛などに対して効果が期待できるとされています。

お茶の葉である茶葉(チャヨウ)が含まれています。また川芎(センキュウ)は頭痛やのぼせ、婦人病などに効果が期待できる生薬です。

川芎茶調散は更年期障害などに伴う頭痛などに対しても効果が期待できるとされています。

比較的少量ですが甘草を含むため、副作用として偽性アルドステロン症などには注意が必要です。

鎮痛薬の乱用が原因で起こる薬物乱用頭痛に対して、鎮痛薬の乱用を止める目的で川芎茶調散を使う場合もあります。

その他の漢方薬

ほかにも以下のような漢方薬が使われる場合があります。

  • 葛根湯(カッコントウ)
    • 肩こりや頭の重さを伴う緊張型頭痛などに使われます。
  • 当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)
    • 冷えを伴う緊張型頭痛や片頭痛などに使われます。
  • 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)
    • 冷えを伴い胃腸の働きが弱い状態における緊張型頭痛や片頭痛などに使われます。
  • 半夏白朮天麻湯(ハンゲビャクジュツテンマトウ)
    • 胃腸が弱く貧血などを伴う緊張型頭痛や片頭痛などに使われます。
  • 桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)
    • 月経不順などを伴う緊張型頭痛などに使われます。

3. 緊張型頭痛は病院に行くべき?

緊張型頭痛は、一度は診察を受けておいたほうがいい頭痛です。頭痛が出るほかの病気を見分けたうえ、頭痛薬を適切に処方してもらうことに意義があります。処方される薬の中には市販薬にはない薬もあります。

危険な頭痛のサインは?

頭痛がして次のような特徴があれば、くも膜下出血脳出血などの可能性も考えられます。急いで救急科脳神経外科神経内科の外来に行ってください。

  • ある瞬間に突然始まった頭痛
  • 今まで経験したことがない激しい頭痛
  • いつもと様子の異なる頭痛
  • 頭痛がだんだん多く、強くなってきている
  • 50歳以降で初めて発症した頭痛
  • 手足が動きにくい
  • しゃべりにくい
  • 意識がもうろうとしている
  • 変なことを言う
  • がん免疫不全(薬や病気が原因で免疫力が低下していること)の状態である

長引く頭痛は病院に行くべき?

日常的に頭痛に悩まされているときは、脳神経外科神経内科に行けば良くなることも多いです。特に頭痛外来のあるクリニックや病院では、片頭痛(偏頭痛)や緊張型頭痛を専門にした診察、治療が行われています。

頭痛外来は文字通り頭痛を専門に診察している外来です。

頭痛の専門医はどこにいる?

「頭痛専門医」とは、日本頭痛学会が2005年から認定を始めた資格です。頭痛診療に関する研修を経て、一定の能力を持っていることが学会によって保証されています。主に脳神経外科や神経内科の医師がこの資格を取得して、頭痛専門医を標榜(ひょうぼう)していることが多いです。日本頭痛学会のウェブサイトでは約800名の頭痛専門医の名前が公開されています。

参考サイト:日本頭痛学会の認定頭痛専門医一覧

頭痛の診察では何を聞かれる?

頭痛を訴えて病院に来た人に、医師が初めの診察でよく尋ねることと、答え方の例をまとめます。答えを考えておけば診察室での話がスムーズに進みます。答えをメモしておいて渡すのもいい考えです。

  1. 今までにつらい頭痛を経験したことはありますか?
    • はい/いいえ
  2. 1.で「はい」と答えた人にお聞きします。今回の頭痛は今までと同じような頭痛ですか?
    • いつもと同じ
    • 今までと違う
    • わからない
  3. 1.で「はい」と答えた人にお聞きします。今までの頭痛の頻度はどれくらいですか?
    • 毎日
    • 週に2~3回
    • 月に3~4回
    • 月に1回
    • 数ヶ月に1回
    • たまに集中して(たとえば毎日)起こる時期がある
  4. 今回の頭痛は、急に起きましたか?徐々に起きましたか?
    • 突然ある瞬間に(何時何分に起きたと分かるくらい)
    • 数分で急に痛くなってきた
    • 数日かけて痛くなってきた
    • 数週間以上かけて痛くなってきている
  5. 今回のようにつらい、痛い頭痛は初めてですか?
    • はい/いいえ
  6. 頭のどの部分が痛みますか?
    • 頭の片側
    • 目の奥
    • 頭の後ろ
    • 頭全体
    • わからない
  7. 痛みの種類はどんな感じですか?
    • ガンガン、ズキズキする
    • ギューっと締め付けられるような感じ
    • ピリッと痛みが走る感じ
    • 頭が重たい感じ
    • わからない
  8. 痛みはどれくらい続きますか?
    • 数秒~数十秒
    • 数分
    • 数時間
    • 1日以内
    • 数日間
    • 1週間~1ヶ月以内
    • 1ヶ月以上続いている
  9. 痛みのせいで、日常生活にどれくらい影響が出ていますか?当てはまるものをすべて選んでください。
    • 痛みのあまりじっとしていることができない
    • 痛いので横になって寝ていたい、あるいは座っていたい
    • 仕事や家事、勉強はできない
    • 歩いたり身動きすると悪化する
    • 歩くのは問題ない
    • 痛いけれども仕事や家事、勉強はできる
  10. 頭痛以外の症状で、当てはまるものを教えてください。
    • 吐き気、嘔吐
    • 首や肩のこり
    • 目の疲れ
    • 音や光に敏感になる
    • 頭痛の前に目の前がチカチカと光ったり、変な音が聞こえる
    • ふわふわしためまい
    • グルグルと目の前が回転するめまい
    • 目が充血したり、涙が出る
    • 鼻づまり、鼻水
    • 熱がある
  11. 何かすると決まって頭痛がすると思うことはありますか?当てはまるものをすべて選んでください。
    • アルコール
    • 寝すぎ
    • 寝不足
    • 生理
    • 生活や仕事のストレス
    • ストレスから解放されたとき
    • デスクワーク
  12. 最近数ヶ月以内に、頭を打ったことはありますか?
    • はい/いいえ
  13. 過去にかかった病気と、今かかっている病気があれば教えてください。
  14. 今飲んでいる薬、サプリメント、健康食品があれば教えてください。

緊張型頭痛で病院に行くと何ができる?

緊張型頭痛の治療は主に薬です。緊張型頭痛に対して処方される薬は2種類に分けられます。

  • 痛みが出たときに痛みを抑える薬
  • 痛みの再発を予防する薬

痛みが出たときの薬は、市販薬にもある痛み止めの薬が中心です。

痛みを予防する薬は市販薬にはありません。

4. 緊張型頭痛の処方薬:症状が出ているときに使う薬

緊張型頭痛には、一般的な痛み止めの薬であるNSAIDs(エヌセイズ、非ステロイド性抗炎症薬)が主に使われます。薬の治療で注意するべき点として、薬が原因でかえって頭痛を誘発してしまう可能性があります。

緊張型頭痛の痛みが出ているときには、次のNSAIDsが推奨されています。

  • アスピリン(商品名:バファリン配合錠A330など)
  • イブプロフェン(商品名:ブルフェン®など)
  • ロキソプロフェンナトリウム(商品名:ロキソニン®など)

NSAIDsの副作用は?

NSAIDsによって消化器障害(胃痛、胸やけ、消化性潰瘍など)や腎機能障害などの副作用があらわれることがあり、注意が必要です。

NSAIDsの中でもCOX−2選択阻害薬という分類のセレコキシブ(商品名:セレコックス®)などは一般的に消化器障害が少ないとされ、緊張型頭痛でも使われることがあります。

緊張型頭痛に処方されるその他の薬

カフェインの併用はその速効性などから有効とされています。

カフェインは依存性があり薬物乱用頭痛につながる可能性もあるため注意が必要です。

カフェインを含む薬剤としてはアセトアミノフェンとIPA(イソプロピルアンチピリン)にカフェインを配合したSG配合顆粒®などがあります。

5. 緊張型頭痛の処方薬:痛みを予防する薬

緊張型頭痛の予防薬として、抗うつ薬が使われる場合があります。

緊張型頭痛の発生には心理的ストレスなどによって痛みが悪化するしくみもあると考えられています。実際に抗うつ薬が緊張型頭痛に有効となることがあります。

抗うつ薬の中でも三環系抗うつ薬のアミトリプチリン(商品名:トリプタノール®など)は緊張型頭痛の予防だけでなく片頭痛(偏頭痛)の予防薬としてもよく使われている薬剤になっています。

三環系抗うつ薬の副作用は?

三環系抗うつ薬は有用な効果の反面、眠気、口の渇きなどの副作用に注意が必要な薬剤です。そのため、一般的に副作用の頻度が低いとされる四環系抗うつ薬が使われることもあります。

緊張型頭痛の予防に使うその他の抗うつ薬

他の抗うつ薬ではNaSSAという種類のミルタザピン(商品名:リフレックス®、レメロン®)などの薬剤を使う場合もあります。

緊張型頭痛の予防に使うその他の薬

筋肉の緊張を緩和するチザニジン(商品名:テルネリン®など)やエペリゾン(商品名:ミオナール®など)を使う場合、抗不安薬であり筋肉を緩める効果も期待できるアルプラゾラム(商品名:コンスタン®、ソラナックス®など)やエチゾラム(商品名:デパス®など)を使う場合もあります。

6. 薬物乱用頭痛とは?

頭痛の治療薬を乱用することで、かえって頭痛を引き起こす場合があります。薬物乱用頭痛と言います。

薬物乱用頭痛はなぜ起こる?

ひどい頭痛を経験すると、不安から薬を飲む回数や量がどんどん増えてきます。すると次第に脳が痛みに敏感になり、頭痛がひどくなるという悪循環に陥ってしまいます。

薬物乱用とは、医薬品を本来の治療目的から逸脱した用法や用量あるいは目的のもとに使用すること、治療目的にない薬物を不正に使用することを言います。頭痛の薬でも処方されたときの指示を守って使わなければ乱用に当たります。

薬物乱用頭痛(Medication-Overuse Headache、MOH)は、頭痛の治療薬の乱用が原因で起こります。診断としては、「1ヶ月に15日以上頭痛があり、3ヶ月を超えて1種類以上の急性期または対症的な頭痛の治療薬を定期的に乱用している状態で、頭痛は薬を飲んでいる間にもあらわれ、場合によっては悪化する」というものが薬物乱用頭痛とされます。

薬物乱用頭痛の治療

治療の原則は主に以下の3点とされています。

  1. 原因薬剤の中止(原因となっている薬剤を2ヶ月間中止する)
  2. 薬剤中止後に起こる頭痛や吐き気・嘔吐などへの対応
  3. 頭痛予防薬の使用

原因薬物の中止後、反動で頭痛(反跳頭痛、離脱頭痛)や吐き気・嘔吐などが起こる場合があります。これに対しては通常、原因薬物以外の治療薬で対処します。

重症の場合は入院も考慮し、(原因薬物以外の)鎮痛薬や吐き気止めの薬などが使われます。

また漢方薬も効果が期待できます。たとえば川芎茶調散(センキュウチャチョウサン)はその安全性の高さなどから適するとされる場合もあります。

薬物乱用頭痛を治療しても、再発がおよそ30%の人で起こるとされています。原因薬剤を中止したあとも「頭痛ダイアリー」を用いての服薬管理などが大切です。

重要なことは日頃から頭痛治療薬を飲み過ぎないように注意することです。

  • NSAIDs、トリプタン製剤、エルゴタミン製剤などは特に処方医や薬剤師の話をよく聞いた上で指示された回数を守って使ってください。
  • 市販薬(OTC医薬品)の規定回数や規定用量を超えての使用は避けて下さい。
  • カフェインが含まれている鎮痛薬は効果が高い反面、依存性があり特に注意が必要です。
    • 市販薬の中にも例えば「ACE処方(ACE:この場合、アセトアミノフェン、カフェイン、エテンザミドの頭文字を合わせた言葉)」といってカフェインを含む鎮痛薬が多く販売されています。

7. 薬のほかにできることはある?

緊張型頭痛は肩こりと深く関係しています。そこで、筋肉をほぐすことで頭痛に対する効果をはかる「頭痛体操」というものがあります。

頭痛体操1:首の筋肉をリズミカルにストレッチする

図:頭痛体操の説明イラスト。首から下を大きく回す。

正面を向いて、頭は動かさずに首から下を大きく回します。腕を大きく振ることを意識します。仕事の合間に1分間行うと、首周りの筋肉がストレッチされ、頭痛の予防・改善効果が期待できます。

頭痛体操2:肩の筋肉をストレッチする

図:頭痛体操の説明イラスト。肩を大きく回す。

両肘を軽く曲げた状態で、肩を大きく回します。前に回す、後ろに回すを両方向、5回ほど行います。頭、首、肩の筋肉はつながっているので、どこかの筋肉がこって緊張してしまうと、全体が張って頭痛につながります。

肩まわりの筋肉をストレッチすることで、頭痛の予防・改善効果が期待できます。

首のストレッチ

画像:緊張型頭痛をケアする首のストレッチの説明イラスト。

  • 両手のひらを使って、アゴを上に押し上げて、首の前を伸ばします。少しきついくらいのところで10秒間キープします。
  • 片手で反対側の頭の横を押さえて、首の横を伸ばします。少しきついくらいのところで10秒間キープします。
  • 両手を組んだ状態で頭の後ろを押さえて、首の後ろを伸ばします。少しきついくらいのところで10秒間キープします。

肩のストレッチ

画像:緊張型頭痛をケアする肩のストレッチの説明イラスト。

  • 片腕の肘を曲げて、逆の手で肘を斜め下に引いて、肩のあたりと二の腕の筋肉を伸ばします。少しきついくらいのところで10秒間キープします。
  • 手首の辺りで、逆の腕を抑えこんで自分の胸に押し当てます。少しきついくらいのところで10秒間キープします。

胸のストレッチ

画像:緊張型頭痛をケアする胸のストレッチの説明イラスト。

背中の後ろで両手を組み、その両手を上にあげ、同時に胸を張ります。少しきついくらいのところで10秒間キープします。

体操以外の対策は?

運動以外にも次のように筋肉を緩める方法があります。

  • 入浴
    • 筋肉の血行をよくし、筋肉をほぐします。
  • 飲酒
    • 筋肉の血行をよくし、筋肉をほぐします。飲み過ぎは避けてください。
  • 椅子の高さを調整する
    • 仕事中に前かがみになっていると肩がこります。
  • 姿勢を良くする
    • 姿勢が悪いと肩こりの原因になります。
  • マッサージ
    • 適度な範囲で行えば、筋肉がゆるんで、頭の痛みも良くなります。筋肉に触っただけで声を出すくらい痛いときは避けてください。
  • ストレスを解消する
    • ストレスの原因を除くことは難しい場合もあります。趣味やリラックスできることを見つけてストレスを解消するのも大切です。

ほかに鍼治療が緊張型頭痛に有効とした報告もあります。

参考文献:Cochrane Database Syst Rev. 2016 Apr 19