あたまがいたい
頭が痛い(数日以内)

薬物乱用頭痛とは?頭痛薬の乱用にご注意を

薬剤の使い過ぎにより引き起こされる頭痛を薬物乱用頭痛と呼びます。ひどい頭痛を経験すると、頭痛発作への不安から薬を飲む回数や量がどんどん増えてきます。次第に脳が痛みに敏感になり、頭痛がひどくなるという悪循環に陥ってしまいます。

1. 薬物乱用頭痛とは

薬物乱用とは、医薬品を本来の治療目的から逸脱した用法や用量あるいは目的のもとに使用すること、治療目的にない薬物を不正に使用することを言います。頭痛の薬でも処方されたときの指示を守って使わなければ乱用に当たります。

薬物乱用頭痛(Medication-Overuse Headache、MOH)は、主に鎮痛薬など頭痛発作時の薬の乱用が原因で起こります。診断としては、「1ヶ月に15日以上頭痛があり、3ヶ月を超えて1種類以上の急性期または対症的な頭痛の治療薬を定期的に乱用している状態で、頭痛は薬を飲んでいる間にもあらわれ、場合によっては悪化する」というものが薬物乱用頭痛とされます。

2. 薬物乱用頭痛の治療

治療の原則は主に以下の3点とされています。

  • 原因薬剤の中止(原因となっている薬剤を2ヶ月間中止する)
  • 薬剤中止後に起こる頭痛や吐き気・嘔吐などへの対応
  • 頭痛発作自体を予防する方法(頭痛予防薬の使用)

薬剤中止後の頭痛や吐き気・嘔吐などへの対応

原因薬物の中止後、反動で頭痛(反跳頭痛、離脱頭痛)や吐き気・嘔吐などが起こる場合があります。これに対しては通常、原因薬物以外の治療薬で対処します。重症の場合は入院も考慮し、(原因薬物以外の)鎮痛薬や吐き気止めの薬などが使われます。また漢方薬も効果が期待でき、例えば川芎茶調散(センキュウチャチョウサン)はその安全性の高さなどから適するとされる場合もあります。

頭痛発作自体を予防する方法

薬物乱用頭痛を防ぐためには頭痛発作自体を予防する薬も有用です。

乱用の原因となった薬物の中止時や中止前から予防薬を使用する場合もあります。

薬物乱用頭痛の元になった頭痛は片頭痛(偏頭痛)が多いこともあり、予防薬に関しては通常の頭痛予防でも使われる薬を用いるのが一般的です。

主にバルプロ酸ナトリウム(商品名:デパケン®など)、ロメリジン(商品名:テラナス®、ミグシス®)、プロプラノロール(商品名:インデラル®、ロプレソール®など)、アミトリプチリン(商品名:トリプタノール®など)などがあります。

近年ではトピラマート(商品名:トピナ®)などに効果が確認されてきています。

薬物乱用頭痛を治療しても、再発がおよそ30%の人で起こるとされています。原因薬剤を中止したあとも「頭痛ダイアリー」を用いての服薬管理などが大切です。

3. 薬物乱用頭痛を起こさないために

NSAIDs、トリプタン製剤、エルゴタミン製剤などは特に処方医や薬剤師の話をよく聞いた上で指示された回数を守って使いましょう。またNSAIDsなどの鎮痛薬は処方薬以外でも市販薬(OTC医薬品)として購入できるため、ついつい多めに使ってしまいそうになりますが、規定回数や規定用量を超えての使用は避けて下さい。またカフェインが含まれている鎮痛薬は効果が高い反面、依存性があり特に注意が必要です。

市販薬の中にも例えば「ACE処方(ACE:この場合、アセトアミノフェン、カフェイン、エテンザミドの頭文字を合わせた言葉)」といってカフェインを含む鎮痛薬が多く販売されているため、購入時に専門家から話をよく聞いて適切に選ぶことが大切です。