2017.01.02 | ニュース

慢性期脳卒中のバランス能力が運動療法で改善

文献の調査から

from Stroke

慢性期脳卒中のバランス能力が運動療法で改善の写真

脳卒中の後遺症のひとつが、まっすぐ立ったり歩いたりするバランス能力の低下です。リハビリで改善が図られます。発症から時間が経った慢性期のリハビリによる効果が、これまでに報告されているデータをもとに統合して報告されました。

脳卒中には脳梗塞や脳出血などが含まれます。脳卒中の慢性期とは発症後1か月以上経った時期を指します。

ここで紹介する研究は、脳卒中後の慢性期にある人を対象に、バランス能力の改善を図った運動療法の効果を調べています。

過去に報告されたデータをまとめる方法が使われました。研究班は文献データベースを検索し、関係する研究のうち、治療法をランダムに割り当てる方法で行われた43件の研究を採用しました。

 

統合したデータから次の結果が得られました。

全体として介入群が有意に勝る差が、Bergバランス尺度(平均差2.22ポイント、+3.9%、95%信頼区間1.26-3.17、P<0.01、I(2)=52%)、機能的リーチテスト(平均差3.12cm、95%信頼区間0.90-5.35、P<0.01、I(2)=74%)、感覚統合機能テスト(平均差6.77ポイント、+7%、95%信頼区間0.83-12.7、P=0.03、I(2)=0%)について見られた。

バランス能力を調べる各種の指標について、リハビリを行ったグループのほうが改善が見られました

 

発症から時間が経っても、リハビリによってバランス能力の後遺症に改善が見られるというデータが示されました。

脳卒中の後遺症に対してリハビリが重要とされます。慢性期のリハビリについても多くの研究があります。しかし、保険制度上の限界もあり、効果がある限り入院したままリハビリを続けることは難しいのが現状です。

脳卒中を経験した人がよりよい生活を送れるためには、慢性期のリハビリを充実させる努力も大切です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Effects of Exercise Therapy on Balance Capacity in Chronic Stroke: Systematic Review and Meta-Analysis.

Stroke. 2016 Oct.

[PMID: 27633021]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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