◆キネシオテーピングを加えると治療効果は上がる?
腰痛の治療法の中に、手で押すなどの徒手療法、テーピングなどがあります。キネシオテーピングは、固定するテーピングとは異なり、伸縮性のあるテープを使って筋肉や皮膚の伸縮、患部の治癒を補助する役割を持つテーピング手法です。
ここで紹介する研究では、原因不明で長引いている腰痛(慢性非特異的腰痛)がある人148人が対象となりました。
対象者はランダムにグループに分けられ、運動と徒手療法で治療するグループと、運動・徒手療法に加えてキネシオテーピングを腰に貼るグループとされました。
毎週2回ずつ、5週間で計10回の治療が行われ、効果が比較されました。
◆キネシオテーピングなしのグループと差がなかった
次の結果が得られました。
一次アウトカムである痛みの強さと機能障害には5週後のフォローアップ時点で群間の差が認められなかった[...]さらに、評価されたほかのアウトカムについても群間の差はなく、例外はランダム割り付けから6か月後の機能障害において対照群が勝っていたことだった(平均差2.01、95%信頼区間0.03-4.00)。
5週間の治療後も、治療開始から6か月後までの追跡調査でも、キネシオテーピングを加えたことで効果が増した点はありませんでした。
慢性の腰痛には心理的な要因も関わっているとされ、認知行動療法などが行われます。キネシオテーピングはほかの場面で痛みを改善するとも言われていますが、使う場面をうまく選ばなければ本来の効果が期待しにくくなるかもしれません。
執筆者
Kinesio Taping Does Not Provide Additional Benefits in Patients With Chronic Low Back Pain Who Receive Exercise and Manual Therapy: A Randomized Controlled Trial.
J Orthop Sports Phys Ther. 2016 Jul.
[PMID: 27266883]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。