2016.03.18 | ニュース

寒い日、指が真っ白になる「レイノー現象」に高血圧の薬が効く?

文献の調査から

from The Cochrane database of systematic reviews

寒い日、指が真っ白になる「レイノー現象」に高血圧の薬が効く?の写真

レイノー現象は、手が冷えたときに指の色が白や青になり、痛みやしびれを伴うといった症状で、多くは原因不明です。血管を広げる作用のあるカルシウム拮抗薬による治療の効果が、これまでの研究報告からまとめられました。

◆カルシウム拮抗薬は原発性レイノー現象を治療できるか?

レイノー現象の原因には免疫の異常による病気などがありますが、より多くの場合は原因不明で、「原発性」と呼ばれます。指が白く、あるいは青くなっているとき、指の血管が収縮して血流が少なくなっています。時間が経つと血流が戻るとともに指が赤くなるのが典型的です。

カルシウム拮抗薬は、高血圧の治療にも使われる薬で、血管を広げ、血圧を下げる作用があります。原発性レイノー現象の治療としても研究されています。

ここで紹介する研究は、これまでに報告された文献を集める方法で、カルシウム拮抗薬が原発性レイノー現象を治療する効果と副作用を調べています。

 

◆症状の頻度を減らす

次の結果が得られました。

経口カルシウムチャンネル遮断薬は原発性レイノー現象の発作の頻度を減らすことにおいてごくわずかに効果があった(標準化平均差0.23、95%信頼区間0.08-0.38、P=0.003)。このことは偽薬に比べてカルシウムチャンネル遮断薬で週当たり1.72回(95%信頼区間0.60-2.84)の発作を減らすことに相当する。

カルシウムチャンネル遮断薬による治療は、頭痛、紅潮、浮腫(腫大)を含むいくつかの有害事象と関連するようだった。

カルシウム拮抗薬の治療により、症状が現れる頻度を1週間あたり1.7回減らす程度のわずかな効果があると見られました。副作用が疑われることとして、頭痛、顔のほてり、体のむくみがありました。

 

レイノー現象の治療では、ほかの病気が原因になっていないかを正しく見極めるのが重要ですが、レイノー現象自体も痛みやしびれがあれば治療したい症状です。カルシウム拮抗薬はわずかながら効果があるという結果でした。役に立てる場面があるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Calcium channel blockers for primary Raynaud's phenomenon.

Cochrane Database Syst Rev. 2016 Feb 25.

[PMID: 26914257]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る