2016.03.18 | コラム

脊椎圧迫骨折のリハビリとは

保存的治療としての役割

脊椎圧迫骨折のリハビリとはの写真
1. 脊椎圧迫骨折とは
2. 脊椎圧迫骨折の治療
3. 脊椎圧迫骨折のリハビリとは

脊椎圧迫骨折は、背骨が上下から押し潰されるように折れることです。高齢者や骨粗鬆症のある人に多く、症状がないこともありますが、痛みを現す場合もあります。鎮痛薬に加えてリハビリで回復を目指します。リハビリの方法などについて説明します。

◆脊椎圧迫骨折とは

脊椎圧迫骨折は、背骨(脊椎)が押し潰されるように折れることです。背骨は上下に連なっていて、体重により互いに押し合っています。加齢や骨粗鬆症により、背骨が上下からの圧迫に耐えられなくなると、ぐしゃっと潰れるように折れることがあります。このことを骨の「圧壊」とも言います。

脊椎の中でも円柱状の「椎体」という部分が潰れることから「椎体骨折」という言葉もあります。

脊椎圧迫骨折は高齢者では非常にありふれています。症状として痛み、背中が曲がること、身長が縮むことなどを自覚する場合もありますが、症状が弱く気付きにくい場合も、全然症状がない場合もあります。つまり、気付かないで脊椎圧迫骨折がある状態のまま生活している人もいます。

 

◆脊椎圧迫骨折の治療

脊椎圧迫骨折では、手足の骨折のように「折れた骨をくっつける」という治療が行われることは多くありません。主な治療法は鎮痛薬(痛みを抑える薬)やコルセットによる固定などの保存的治療(手術をしない治療)です。保存的治療の目的は、痛みや、体幹の動かしにくさ、筋力の低下、それらに伴う日常生活の制限などを改善することです。保存的治療としてのリハビリには大きな役割があります。同時に骨粗鬆症の治療が行われる場合もあります。

保存的治療を行ったうえでも背中の変形が進む場合などで手術も検討されます。

以下では保存的治療としてのリハビリを中心に説明します。

 

◆脊椎圧迫骨折のリハビリとは

脊椎圧迫骨折のリハビリ方法は、時期によって異なります。

まず、痛みが出て脊椎圧迫骨折に気付いた場合であれば、通常は数週間程度で痛みが落ち着きますが、痛みが長引く人もいます。痛みの強さなどは人によってかなり違います。痛みが強い時期には、無理に動くと痛みが強くなってしまうので、コルセットで固定して安静にすることが有効です。仰向けに寝て足を椅子などの上に載せ、股関節と膝を90度に曲げた姿勢にすると楽になるという人もいます。

しかし、寝ている時間が長くなると、背中の筋肉やそれ以外の部分も弱ってしまいます。そのため、ベッド上で足、腕、首の筋力をつけたり、関節がかたまらないように動かす練習をします。特に、歩くときに非常に重要な筋肉である膝やお尻の筋肉はベッド上でも鍛えることができるため、痛みの出ない範囲で筋力トレーニングを行います。また、深部静脈血栓症という足に血栓ができてしまう病気を防ぐために、足首を動かす練習をします。

 

ある程度痛みが落ち着いてきたら、歩く練習や失った体幹周りの筋肉、可動性を改善する練習を行います。コルセットを着けていると、お腹周りが圧迫され、筋肉を使わなくても良くなってしまうため、お腹周りの筋力が低下しやすくなります。そのため、筋力を維持するには適切な筋力トレーニングを行う必要があります。

ただし、無理に歩いたりすると、腰の痛みが再発する場合もあるため、専門家に指導を受けることが大事です。退院後も無理な姿勢や動きを避けながら運動を続けることがリハビリになります。

経過は人によって差がありますが、痛みが6か月以上続くような場合もあり、リハビリに加えて鎮痛薬による治療も続け、症状をできるだけ抑える方法を検討します。

 

以上で背椎圧迫骨折のリハビリについて解説しました。医療機関で治療を受けたあとも自宅でリハビリを続けられるよう、専門家の指導をよく聞いてください。

注:この記事は2016年3月18日に公開しましたが、2018年2月23日に編集部(大脇)が更新しました。

執筆者

Shuhei Fujimoto

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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