2016.03.08 | ニュース

アカラシアには、手術とバルーン拡張どちらが効果的?

患者201人の治療効果から

from Gut

アカラシアには、手術とバルーン拡張どちらが効果的?の写真

アカラシアとは、食べ物が通過するときに食道がうまく広がらないことによって、飲み込みの困難や嘔吐などの症状があらわれる病気です。治療には手術の他に、食道に風船を入れて膨らませるバルーン拡張があります。その効果の違いについて報告されました。

◆アカラシアはどんな病気?治療法は?

食道と胃の間には、食べ物を逆流しないように胃に送るために重要な筋肉があります。筋肉は収縮したり緩んだりすることで機能しますが、この機能が何らかの原因によって上手く働かなくなり、食べ物がうまく胃に流れなくなってしまう病気をアカラシアと言います。

治療薬もありますが、この研究では以下の2種類の治療についての効果を確かめています。

・腹腔鏡手術
アカラシアの原因となっている筋肉の部分を、腹腔鏡手術によって切り開き、収縮しすぎないようにする方法です。

・バルーン拡張
食道の中に風船を入れてアカラシアの原因となっている部分の近くで膨らませることで、食べ物の流れを良くする方法です。

 

◆アカラシア患者201人のそれぞれの治療効果を確認

研究チームは、新たにアカラシアと診断された201人を調査対象としました。対象者をランダムに、腹腔鏡手術(96人)とバルーン拡張(105人)の2種類の治療グループに分け、それぞれの治療による効果を5年間にかけて確認しました。

 

◆バルーン拡張は再治療する必要がある?

調査の結果、一定基準以内に症状を抑える成功率には差はありませんでした。しかし治療5年後において、以下のような結果が報告されました。

再拡張の治療が、バルーン拡張をしたグループのうち24人(25%)に行われた。バルーン拡張をしたグループの5人(5%)に食道の穿孔が起こり、腹腔鏡手術をしたグループの12人(11%)に食道の粘膜の断裂が起こった。

つまり、腹腔鏡手術とバルーン拡張のどちらにおいても、治療後5年間の間に何らかの合併症があらわれていました。その中でも、バルーン拡張をした場合では、再治療が25%で行われていました。

 

アカラシアの治療による合併症は以前から知られていることから、術後は定期的な通院をすることで、処置がとれるようになっています。治療前の状態に適した治療法を選ぶとともに、その後のリスクに応じた対策を取るためにも、こうした報告が役に立ちます。

執筆者

鈴木あいか

参考文献

Long-term results of the European achalasia trial: a multicentre randomised controlled trial comparing pneumatic dilation versus laparoscopic Heller myotomy.

Gut. 2015 Nov 27. [Epub ahead of print]

[PMID: 26614104]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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