◆アデノウイルスからワクチンを作成
この研究では、アデノウイルスの遺伝子を改変し、HIVの遺伝子を組み込むことで、HIVが持っている物質を作らせるようにしたものを使いました。2種類の改変されたアデノウイルスをワクチンとして、対象者に注射したのち、免疫反応が得られるかどうか、また有害な反応が起こらないかが調査されました。
◆反応あり、深刻な問題はなし
次の結果が得られました。
ワクチンに関連する深刻な有害事象は発生しなかった。すべてのレジメンは概してよく忍容された。すべてのレジメンが、ほぼすべての参加者において液性免疫および細胞性免疫の応答を誘発した。
ワクチンの注射を受けた217人のうちで、ワクチンによって引き起こされた免疫反応が確かめられました。また、深刻な副作用は見られませんでした。
以前に紹介した研究では動物実験が行われていましたが、ここでは人体で期待した免疫反応が得られています。ただし、この研究は実際に感染が防げたかを確かめたものではありません。HIV感染の有効な対策になるかを知るには、安全性を確かめながらさらに研究を進める必要があります。
日本でも毎年1,000人以上が新たにHIVに感染していることを含め、全世界で感染が続いている中で、対策は今も模索されています。
執筆者
Assessment of the Safety and Immunogenicity of 2 Novel Vaccine Platforms for HIV-1 Prevention: A Randomized Trial.
Ann Intern Med. 2016 Feb 2. [Epub ahead of print]
[PMID: 26833336]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。