2016.02.02 | ニュース

手術後の痛みと脊椎不安定、片側椎弓切除術で最小限に

脊髄良性腫瘍の手術で97人を対象に検証

from World neurosurgery

手術後の痛みと脊椎不安定、片側椎弓切除術で最小限にの写真

通常、脊髄の良性腫瘍は椎弓切除術と言う手術法で取り除かれます。しかし、術後に痛みが出たり、背骨が不安定になる場合もあります。「片側椎弓切除術」の効果が検証されました。

◆ 手術で脊髄良性腫瘍を取り出す

脊髄は、背骨の中を通っている太い神経の束です。脊髄に良性腫瘍ができると、がんのように周りに広がったり転移することはありませんが、正常な神経を圧迫して症状を出すことがあります。

通常の手術で脊髄良性腫瘍を取り出すと、脊髄周辺の組織を損傷してしまうことがあり、手術後に痛みを伴う事や、背骨が不安定になり、固定するための用具が必要になることがあります。

今回の研究では、脊髄良性腫瘍を取り出すため、片側椎弓切除術を行った97人の術後の痛みに対する効果、また、背骨を固定するための用具装着の必要性が確かめられました。

 

◆ 片側椎弓切除術で痛みが改善

次の結果が得られました

痛み(デニス・スケール)は退院時、また、追跡調査の時点で統計的に有意に改善した(P < 0.0001 神経鞘腫、P < 0.001髄膜腫)。脊柱の不安定性は見られなかった。

片側椎弓切除術を受けると術後の痛みが改善することが分かりました。さらに、背骨を固定するための用具装着の必要性はなかったため、早期のリハビリ開始を可能としました。

 

この研究で片側椎弓切除術の可能性が示されました。将来、術後の患者の早期回復、痛みの軽減のために片側椎弓切除術が、手術の選択肢のひとつにされるかもしれません。

 

【訂正2/3】検討された手術について、「マイクロサージェリー」と記載していましたが、この論文はマイクロサージェリーによる「片側椎弓切除術」を検討したものであり、誤解を招く恐れがありました。そのため、マイクロサージェリーについての記述を一部削除し、「マイクロサージェリー」とあった箇所を「片側椎弓切除術」に置き換えました。また、内容に即して題名を改めました。

執筆者

宮本 望都喜

参考文献

Unilateral Laminectomy Approach for the Removal of Spinal Meningiomas and Schwannomas: Impact on Pain, Spinal Stability, and Neurologic Results.

World Neurosurg. 2016 Jan.

[PMID: 26475380]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る