2016.01.19 | ニュース

オメガ3脂肪酸は心筋梗塞リスク低下の作用が高い?

シンガポールにおける調査から

from The Journal of nutrition

オメガ3脂肪酸は心筋梗塞リスク低下の作用が高い?の写真

魚が多く含む長鎖オメガ3不飽和脂肪酸(n-3 PUFAs)は様々な役割が知られています。今回著者らはn-3 PUFAに加え植物に含まれるαリノレン酸(ALA)に関し、急性心筋梗塞(AMI)リスクに対して調査を行いました。

◆1,488名を対象にした調査

著者らは以下の被験者を対象に調査を行いました。

AMIを引き起こした744名と対照群744名によるコホート内症例対照研究を、Singapore Chinese Health Studyにて行った。被験者は47才から83才までである。

つまり、過去に行われた追跡調査のデータを使い、急性心筋梗塞を起こした被験者とそうでない被験者において、n-3 PUFAを含めた測定値と急性心筋梗塞の相関関係を調べました。

 

◆n-3 PUFAsはAMIリスク低下と高い関連がある

著者らは以下の結果を得ました。

血中長鎖n-3 PUFAsはAMIリスク低下と関連があった(4段階評価で最も低い群と最も高い群を比較して多変量オッズ比は0.62、95%信頼区間は0.41から0.94、P-trendは0.03)。[...] 血中のALAは、血中長鎖n-3 PUFAsが高濃度の被験者でさえわずかにAMIリスク低下と相関があった(多変量オッズ比は0.73、95% 信頼区間は0.51, 1.05、P-trendは0.07)。

つまり、魚に多く含まれるn-3 PUFAは急性心筋梗塞のリスク低下と相関がありました。一方植物に含まれるALAがもたらす急性心筋梗塞リスク低下はわずかでした。

 

著者らは結論として、「血中長鎖n-3PUFAはこのアジア人集団において、AMIのリスク低下と相関があった。血中ALAは高長鎖n-3PUFAの濃度が高い人でも僅かにAMIリスク低下と関連するかもしれない。そしてこの相関は部分的に血圧とLDLコレステロールを介しているのかもしれない。」と述べています。

植物由来の不飽和脂肪酸であるALAについては弱い一方で、魚由来のn-3PUFAには急性心筋梗塞リスクの低下と関連があるようです。より大規模な調査が必要とは思いますが、両方に共通したリスク低下の仕組みが詳しく分かれば、新たな創薬開発に繋がるかも知れません。

執筆者

高田

参考文献

Plasma α-Linolenic and Long-Chain ω-3 Fatty Acids Are Associated with a Lower Risk of Acute Myocardial Infarction in Singapore Chinese Adults.

J Nutr. 2015 Nov 25. pii: jn220418.

[PMID: 26609174]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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