◆双子の間で血液が行き来する異常
双胎間輸血症候群は、双子がひとつの胎盤を共有して血液を受けている場合(一絨毛膜双胎)で、一方の胎児に血液が多く、もう一方には少なく流れてしまうときに起こります。血液を多く受け取る胎児、少なく受け取る胎児の両方に悪い影響があり、胎児死亡や流産の危険性が大きいことが知られています。
双胎間輸血症候群のレーザー治療(胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術)は、レーザーで双子の間にある血管を焼き、血液が双子の間で行き来しないようにすることで、正常な血液の流れを作ろうとする方法です。ほかの治療法に羊水除去術があります。
研究班は、研究施設で4年の間に106件の双胎間輸血症候群の妊娠に対してレーザー治療を行い、その結果を集計しました。
◆83%で少なくとも一方は生存
次の結果が得られました。
106件の妊娠が研究期間に治療された。レーザー治療時点での妊娠週数の中央値は19.7週(範囲15.1-27.6)だった。治療後の双胎間輸血症候群の再発は2件(1.9%)、双胎貧血多血症候群の発生は2件(1.9%)で起こった。少なくとも双子のうち一方が生存した率は83.0%、両方が生存した率は55.6%だった。
レーザー治療が行われた妊娠のうち83.0%で双子のうち少なくとも1人が生存し、55.6%では2人とも生存しました。双胎間輸血症候群の再発は2件、それに近い状態の双胎貧血多血症候群は2件で起こりました。
双胎貧血多血症候群は胎児にとってきわめて危険な状態ですが、治療で助かる場合があります。レーザー治療は日本でも承認され、一部の病院で受けることができます。危険にさらされた親子の希望になれることがあるかもしれません。
執筆者
Postnatal survival after endoscopic equatorial laser for the treatment of twin-to-twin transfusion syndrome.
Am J Obstet Gynecol. 2015 Oct 27 [Epub ahead of print]
[PMID: 26517964]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。