2015.11.20 | ニュース

ビタミンがタバコの発がん性に対抗する?

フランス627人のデータから

from The American journal of clinical nutrition

ビタミンがタバコの発がん性に対抗する?の写真

喫煙によって肺がんや胃がんなど、多くの種類のがんができやすくなると言われています。一方、栄養状態によってもがんのできやすさに違いがあるとされます。喫煙に関連するがんに対して、ビタミンDの指標により違いがあるかを調べる研究が行われました。

◆フランスの追跡調査から

研究班は、フランスの成人を対象にした追跡調査のデータを使い、喫煙で増えるとされる種類のがんが診断された209人と、それらの診断がなかった418人を比較して、血液検査で得られたビタミンDの指標に違いがあるかを調べました。

 

◆ビタミンDが多いと喫煙による発がんが少ない?

次の結果が得られました。

25(OH)Dの濃度が30ng/ml以上であることは、喫煙に関連するがんのリスク減少と関連した(30ng/ml未満と比較して、30ng/ml以上でオッズ比0.59、95%信頼区間0.35-0.99、P=0.046)。この関連は以前に喫煙していた人と現在喫煙している人で見られたが(30ng/ml未満と比較して30ng/ml以上でオッズ比0.43、95%信頼区間0.23-0.84、P=0.01)、喫煙したことのない人では見られなかった(P=0.8)。

ビタミンDの指標が高い人は、低い人と比べて、喫煙に関連するがんが少なくなりました。喫煙したことがある人とない人を分けて解析すると、喫煙したことがある人ではビタミンDの指標が高い人のほうが喫煙に関連するがんが少なくなっていましたが、喫煙したことがない人では関連が見られませんでした

 

この結果だけでは、ビタミンDが喫煙によりがんが発生する変化を止めたかどうかはわかりません。喫煙とは関係のないしくみでがんを防いでいた可能性も考えられるほか、ビタミンDが多い人に生活習慣などの特徴があり、それによってがんの頻度に違いが現れたなど、さまざまな解釈がありえます。

ビタミンDとがんの関係について、さらに別の角度からも調べることで、がん予防につながる知見が得られるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Prospective associations between vitamin D status, vitamin D-related gene polymorphisms, and risk of tobacco-related cancers.

Am J Clin Nutr. 2015 Nov

[PMID: 26447153]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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