2015.10.28 | ニュース

複数の変形性膝関節症が合わさると、どんな悪いことが起きるか?

日本の研究チームが143人を分析

from Arthritis care & research

複数の変形性膝関節症が合わさると、どんな悪いことが起きるか? の写真

変形性膝関節症の多くは、内側型と呼ばれる膝の内側の軟骨が擦り減るタイプです。今回の研究では、内側型の変形性膝関節症に加えて、太ももの骨と膝のお皿の間にも関節症が認められた人は、さらにどのような症状が見られるか検証しました。

◆複数の変形性関節症と症状の関連性を検証

膝関節は、太ももの骨(大腿骨)と下腿(脛骨)の関節(大腿脛骨関節)、膝のお皿(膝蓋骨)と大腿骨の関節(膝蓋大腿関節)で主に構成されます。変形性膝関節症では、これらの関節の隙間が狭くなったり、隙間に骨棘と呼ばれるものができることで、痛みが生じると言われています。大腿脛骨関節の変形性膝関節症では、内側と外側の関節の隙間が障害されることで、それぞれ内側型と外側型と呼ばれます。

今回の研究では、内側型の変形性膝関節症患者143人のうち、さらに膝蓋大腿関節症を発症している人はどのような症状が関連しているか検証しました。

 

◆複数の変形性膝関節症があると、階段を昇り降りするときの膝の痛みが大きく出現

以下の結果が得られました。

[...]、多重ロジスティック回帰分析により、膝蓋大腿関節症も発症していると、階段を昇るとき(オッズ比4.81、95%信頼区間1.73-14.3)と降りるとき(オッズ比3.86、95%信頼区間1.44-10.8)の膝の痛みを訴えるオッズがより高かった。

 内側型の変形性膝関節症と膝蓋大腿関節症がどちらもあると、階段の昇り降りにおける膝の痛みが出現する人が多いという結果でした。

 

変形性膝関節症は、歩行や階段昇降といった日常生活動作が制限されることが多い病気です。今回の結果から膝蓋大腿関節症も発症していると、さらに症状は悪くなることがわかりました。よく問題になる内側型だけでなく、膝蓋大腿関節症も視野に入れて予防策を考える必要があるかもしれません。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Clinical impact of coexisting patellofemoral osteoarthritis in Japanese patients with medial knee osteoarthritis.

Arthritis Care Res (Hoboken). 2015 Aug 28

[PMID: 26315986]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る