2015.10.18 | ニュース

排気ガスで白血病に?子どもの急性骨髄性白血病の頻度に見られた特徴とは

フランス全国の統計から

from American journal of epidemiology

排気ガスで白血病に?子どもの急性骨髄性白血病の頻度に見られた特徴とはの写真

子どもにも起こる急性白血病の原因はわかっていませんが、化学物質にさらされることで起こりやすくなるという説があります。フランスの統計をもとにした研究で、大きな道路の近くに住んでいることと急性白血病の頻度の関連が検討されました。

◆道路からの距離と白血病の頻度を解析

この研究は、フランス全国で行われた調査データから、白血病と診断された子ども2,760人と、そうではない子ども30,000人を比較して、住所をもとに計算した道路との位置関係と、白血病の頻度について、統計解析を行いました。

 

◆主要な道路が多いところに住んでいるとAMLが多い

次の結果が得られました。

住所から150m以内の主要な道路の長さが300m増すことが、AMLと有意に関連したが(オッズ比1.2、95%信頼区間1.0-1.4)、ALLとは関連しなかった(オッズ比1.0、95%信頼区間0.9-1.1)。この関連はイル=ド=フランス地域でベンゼン濃度の推定値と組み合わせたときにより強く見られた。

住所から150m以内に主要な道路が多い子どもでは、急性骨髄性白血病(AML)がより多く見られました。特に、自動車の排気ガスなどに含まれるベンゼンの空気中の濃度が推定されていたイル=ド=フランス地域では、主要な道路に加えてベンゼンの量を指標とすることで、より強い関連が見られました。

研究班は、「この結果は子どものAMLの病因において交通関連のベンゼン曝露に何らかの役割があることを支持する」と推論しています。

 

地域によってベンゼン以外にも白血病と関係する要素の違いがあった可能性もあり、この結果だけでベンゼンが白血病を増やすと断定することはできません。しかし、ベンゼンが関わっているかもしれないという仮説が、発病のしくみを解明し、予防法を導き出す研究のための手掛かりになるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Residential Proximity to Heavy-Traffic Roads, Benzene Exposure, and Childhood Leukemia-The GEOCAP Study, 2002-2007.

Am J Epidemiol. 2015 Oct 15

[PMID: 26377958]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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