2015.10.20 | ニュース

猫の糞に潜むトキソプラズマ、ワクチンで感染を予防

マウスの実験で効果を検証

from Parasites & vectors

猫の糞に潜むトキソプラズマ、ワクチンで感染を予防の写真

寄生虫のトキソプラズマは猫の糞や生の豚肉から感染し、発熱などの症状を起こしたり、妊娠中の女性に感染したときには胎児の脳に異常を起こすこともあります(先天性トキソプラズマ症)。新たにワクチンで感染を予防する研究が行われました。

◆2種類のワクチンを検討

トキソプラズマのDNAをもとにしたワクチン(DNAワクチン)はこれまでに開発されていましたが、効果が弱いとされていました。研究班は、トキソプラズマが作る複数の物質をもとに別の種類のワクチン(アデノウイルスワクチン)を作り、DNAワクチンと組み合わせてマウスに接種することで、トキソプラズマの感染を防ぐ効果を調べました。

 

◆続けて使うと予防効果あり

アデノウイルスワクチンによってマウスに免疫反応が起こることが観察されました。ワクチンを接種したマウスで、致死量のトキソプラズマを感染させたとき、生存率が改善し、脳に見つかるトキソプラズマの量が少なくなる効果が見られました

最初にDNAワクチンを注射し、続けてアデノウイルスワクチンを注射したときに最も強い反応が見られました。

 

トキソプラズマの感染を防ぐ方法として、現在は土や砂に触った手を洗う、生の豚肉を食べないなどの衛生管理が勧められ、人間に対して効果が確かめられたワクチンはありません。有効なワクチンが作られれば、先天性トキソプラズマ症などの深刻な問題を防ぐことにつながるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

A Toxoplasma gondii vaccine encoding multistage antigens in conjunction with ubiquitin confers protective immunity to BALB/c mice against parasite infection.

Parasit Vectors. 2015 Sep 30

[PMID: 26420606]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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