2015.09.13 | ニュース

血栓が見えた!PET/CTの画像で位置を特定

ラットの実験から

from Arteriosclerosis, thrombosis, and vascular biology

血栓が見えた!PET/CTの画像で位置を特定の写真

血管の中で血の塊(血栓)ができて、血液の流れをせき止めてしまうことが、脳梗塞などさまざまな病気を起こします。アメリカの研究班が、画像検査で血栓の位置を正確に見分ける技術をラットで試しました。

◆ラットの血栓を探す実験

研究班は、ラットの血管に薬剤を注入して血栓が作られるようにし、 64Cu-FBP8-PET/CTという画像検査で血栓を探しました。

この検査はPETとCTという2種類の画像を重ね合わせるものです。PETは体の組織の活動を反映して、特定の物質の代謝が盛んに行われている場所を見つけやすくしますが、血管など細かい構造が見分けにくいという面があります。CTは細かい構造を描き出せるため、PETと重ね合わせることで、PETで見える変化が血管のどの場所に対応するのかが見分けやすくなると期待されます。

 

◆97.6%の精度で位置を特定

次の結果が得られました。

動脈内および静脈内の栓子は、PET/CTの重ね合わせ画像の上で、高い精度で位置を確かめられた(97.6%、95%信頼区間92-100)。

画像検査によって、血栓の位置を97.6%の精度で特定することができました。研究班は「64Cu-FBP8-PETは全身の栓子の検出のために実行可能なアプローチであること[...]が示された」と結論しています。

 

この検査が人間にも使えるかどうか、また実際に脳梗塞などが起こったときにどのような使い方が考えられるかは別の課題です。重要な変化を素早く正確に見つけ、よりよい治療に結びつける方法を目指して、こうした研究がなされています。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Multisite Thrombus Imaging and Fibrin Content Estimation With a Single Whole-Body PET Scan in Rats.

Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2015 Aug 13 [Epub ahead of print]

[PMID: 26272938]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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