2015.08.27 | ニュース

妊娠前の食事によってファロー四徴症の頻度が違う?

アメリカ2万人の食事調査

from Archives of disease in childhood. Fetal and neonatal edition

妊娠前の食事によってファロー四徴症の頻度が違う?の写真

母親の栄養状態は、いくつかの点で産まれてくる子どもの健康に関わると言われています。総合的に食事の質を評価するスコアによって調べたところ、スコアが高い人で子どもの先天性心疾患が少ない傾向が見られました。

◆2万人の母親の食事をDQI-Pで評価

研究班は、生まれつき心臓の形に異常(先天性心疾患)がある子どもの母親9,885人と、そうではない子どもの母親9,468人を対象として、妊娠する前1年間の食事の内容を聞き取り、Diet Quality Index for pregnancy(DQI-P)という計算基準を使って、食事の質を総合的に評価しました。

 

◆心房中隔欠損症、ファロー四徴症ほかに関連あり

解析から次の結果が得られました。

よりよい食事の質は、いくつかの円錐動脈幹異常、心房中隔の異常のリスク減少と関連した。DQI-PのスコアがQ1に比べてQ4の人では、推定されたリスク減少量がファロー四徴症に対して37%(オッズ比0.63、95%信頼区間0.49-0.80)、円錐動脈幹異常全体に対して24%(オッズ比0.76、95%信頼区間0.64-0.91)、心房中隔欠損に対して23%(オッズ比0.77、95%信頼区間0.63-0.94)、心房中隔の異常全体に対して14%(オッズ比0.86、95%信頼区間0.75-1.00)だった。

食事の質が最もよかった1/4の対象者では、最も悪かった1/4の人に比べて、子どものファロー四徴症、心房中隔欠損症などの先天性心疾患が少なくなっていました

研究班は「この結果から、ある種の心臓形成異常を減らすことが、母親の食事の質を改善することの利益として加えられることが示唆され、妊娠前のケアについて現在勧められていることを強化する」と結論しています。

 

この研究の方法では、必ずしもDQI-Pの評価が高い食事によって先天性心疾患を予防できたとは断言できず、過去の食事内容を調べる方法によって答えが偏った可能性や、子どもの先天性心疾患と食習慣の共通の原因になる背景が母親にあった可能性を考えに入れておく必要があります。

とはいえ、先天性心疾患を予防する方法がほとんど知られていない中で、もしこの結果が新しい発見に結び付けば、子どもの健康に役立つかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Lower rate of selected congenital heart defects with better maternal diet quality: a population-based study.

Arch Dis Child Fetal Neonatal Ed. 2015 Aug 24 [Epub ahead of print]

[PMID: 26304461 ] http://fn.bmj.com/content/early/2015/07/10/archdischild-2014-308013.full

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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