◆課題指向型訓練と筋力訓練の併用効果を検証
脳卒中後のリハビリテーションに対するアプローチ方法の一つに、実際の動作を行う課題指向型訓練(水を飲むなど)があります。この研究は、課題指向型訓練とあわせて筋力訓練を行うことで、さらに効果を強くすることができるかどうかを調べました。
研究グループは、20名の脳卒中患者を対象に、課題指向型訓練のみを行うグループと、課題指向型訓練と筋力訓練を併用するグループにランダムに分け、6週間にわたる訓練で、手の運動機能への効果を調べました。
◆筋力訓練の併用は機能をより改善
6週間の訓練の結果、どちらのグループにおいても手の機能の改善がみられました。
また、以下の結果が見られました。
TOT_STグループは、リハビリテーションプロトコールの終了時、片手の課題との両手動作の質に関連して、よりよいスコアを示した (The Upper Extremity Performance Test、P = 0.04) 。
この結果は、課題指向型訓練のみを行ったグループより、筋力訓練を併用したグループのほうが手の運動能力が改善したことを示しています。
研究グループは、「筋力強化トレーニングは、脳卒中後軽度の患者において課題指向型リハビリテーションを行ううえで中心的な要素となる可能性がある」と述べています。
脳卒中患者に対するリハビリテーションには様々な手技がありますが、患者の状態にあわせてうまく組み合わせることでより効果が得られるかもしれません。
執筆者
Strength training associated with task-oriented training to enhance upper-limb motor function in elderly patients with mild impairment after stroke: a randomized controlled trial.
Am J Phys Med Rehabil. 2015 Jan
[PMID: 25122097]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。