2015.08.20 | ニュース

嘔吐の原因は?脂肪腫を腹部CTで発見

13歳女児の症例報告

from The New England journal of medicine

嘔吐の原因は?脂肪腫を腹部CTで発見の写真

内臓の病気は症状がなければなかなか気付かれないことがあります。アメリカの研究班から報告された、嘔吐の症状で検査を受けたところ、お腹の中に大きな良性の脂肪腫があった13歳の女の子の例を紹介します。

◆原因不明の便秘と嘔吐

この女の子は、便秘と嘔吐の症状があり受診しました。症状は数週間前からあり、お腹と背中の痛みがしだいに強くなっていました。

診察ではお腹を押すと痛む様子がありましたが、お腹に触ったときに硬い塊は見つかりませんでした。腹部レントゲンでは原因は特定できませんでした。

 

◆CTで脂肪腫を発見

腹部CTを撮影したところ、大きさ19.5cmに及ぶ、良性の脂肪腫と見られる塊が見つかりました。脂肪肉腫という悪性腫瘍である可能性も完全には否定できませんでしたが、手術で腫瘍を取り除き、腫瘍の中の遺伝子を調べたところ、良性の脂肪腫であることが確かめられました。

手術後に女の子は異常なく退院し、再発は報告されていません。

 

症状は腫瘍が腸を圧迫したためのもので、触っても見つからなかったのは、腫瘍が柔らかく、お腹全体に広がるほどの大きさだったためと思われます。脂肪腫は痛みなどの症状がないまま検査で偶然見つかることがあり、中にはこうした例もあるようです。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

IMAGES IN CLINICAL MEDICINE. Constipation Associated with a Lipoma.

N Engl J Med. 2015 Aug 13

[PMID: 26267625] http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMicm1413283

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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