2015.08.16 | ニュース

脊髄への高周波刺激が背中と足の痛みを改善する

ランダム化比較試験により検証

from Anesthesiology

脊髄への高周波刺激が背中と足の痛みを改善する の写真

脊髄への高周波刺激は、痛みを和らげる目的で電気刺激を脊髄へ送る方法です。今回の研究は、慢性的な背中や足の痛みのある患者に対して10kHzの高周波刺激を行い、低周波刺激と比べて痛みが改善するか検証しました。

◆高周波刺激を行う群と低周波刺激を行う群にランダムに振り分け

今回の研究は、背中と足の両方に痛みを持つ計171名を、埋め込み式の電極を入れ脊髄に10kHzの高周波刺激を行う群と低周波刺激を行う群にランダムに振り分け、痛みに効果があるかどうかを比較して検討しました。

 

◆高周波刺激のほうが痛みが改善

調査の結果、以下のことを報告しました。

3ヶ月の時点で、10kHzの埋め込み療法を行った対象のうち84.5%で背中の痛みが改善し、83.1%で足の痛みが改善した。伝統的な脊髄刺激療法を行った対象の43.8%で背中の痛み 、55.5%で足の痛みが改善した(p<0.001、背中と足の両方の痛みについて比較した)。

改善した人の相対比は、背中の痛みで1.9(95%信頼区間1.4-2.5)、足の痛みで1.5(95%信頼区間1.2-1.9)であった。

10kHzの高周波刺激を行った群のほうが低周波刺激を行った群よりも、背中と足の痛みが改善した人がより多いという結果でした。また、この効果は12ヶ月まで持続しました。

 

今回用いられた脊髄への高周波刺激は、痺れなどを起こさずに疼痛を改善できることを期待されています。まだその効果は断定できませんが、今後の検証に期待がかかります。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Novel 10-kHz High-frequency Therapy (HF10 Therapy) Is Superior to Traditional Low-frequency Spinal Cord Stimulation for the Treatment of Chronic Back and Leg Pain: The SENZA-RCT Randomized Controlled Trial.

Anesthesiology. 2015 Jul 27

[PMID: 26218762]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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