2015.08.15 | ニュース

人工肩関節置換術のあと、経過が悪かった人の特徴とは

アメリカ1万7千件の観察研究

from The Journal of bone and joint surgery. American volume

人工肩関節置換術のあと、経過が悪かった人の特徴とはの写真

人工肩関節置換術は、関節リウマチや骨折などで行われます。痛みや肩の動きを改善する効果がありますが、退院後の状態が悪いと再入院や再手術が必要になることもあります。アメリカのデータを調べた結果、悪い経過と結び付きやすい要因が見つかりました。

◆手術を受けた人のデータを解析

研究班は、アメリカのニューヨーク州の診療データから、人工肩関節置換術17,311件について患者の情報を取得し、統計解析によって入院期間の長さ、90日以内の再入院、再手術と関連する要因を探しました。

 

◆性別、年齢、合併症ほか

次の結果が得られました。

入院期間がより長いことは女性、高齢、Medicaidの被保険者、合併症、骨折の診断のため関節置換術が行われていたこと、病院の症例経験数が多いこと、外科医の症例経験数が少ないことと関連していた。再入院は高齢、合併症と関連していた。

再手術は若齢、変形性関節症、外傷性関節症と関連していた。

悪い経過があった人に多かった特徴は以下のとおりでした。

  • 入院期間が長かった人に多かった特徴
    • 女性
    • 高齢
    • Medicaidの保険を使っている
    • 肩関節以外に病気やけががある
    • 手術をした理由が骨折
    • 治療経験が多い病院で手術を受けた
    • 治療経験が少ない外科医に手術を受けた
  • 再入院した人に多かった特徴
    • 高齢
    • 肩関節以外に病気やけががある
  • 再手術を受けた人に多かった特徴
    • 若い年齢
    • 手術をした理由が変形性関節症
    • 手術をした理由が外傷性関節症

 

これらに当てはまる人の経過が必ず悪かったということでも、当てはまらない人の経過が必ず良かったということでもなく、傾向として当てはまる場合が比較的多かったという結果です。手術のあと、退院して元の生活に戻るうえで、どんな場合に備えればいいかを考える参考になるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Factors Affecting Length of Stay, Readmission, and Revision After Shoulder Arthroplasty: A Population-Based Study.

J Bone Joint Surg Am. 2015 Aug 5

[PMID: 26246260]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る