◆敗血症性ショックの患者が対象
研究班は、この報告より前の研究で、重症の感染により敗血症性ショックという致命的な状態に陥った患者200人をランダムに分け、体温36.5℃から37℃の範囲にまで冷やしながら治療するか、冷やさないで治療するかを比較し、冷やしたグループのほうが14日目までの死亡率が低いという結果を得ていました。
ここで得られた治療データを解析し、体温の変化と死亡率の関係をさらに詳しく調べました。
◆38.4℃が境界
体温で区切ったとき、体温が高い場合と低い場合で死亡率に最も大きな違いが出るように境界の値を計算したところ、「体温が38.4℃未満に保たれた時間が長いほど、死亡率は低かった(調整オッズ比0.17、0.06-0.49、P=0.001)」という結果が得られました。
この研究は敗血症性ショックという重症の場合について調べたもので、日常によくあるかぜなどの熱を下げるべきかどうかとは別ですが、体温が上がりすぎることで体に起こる変化が明らかになれば、どんな場合に体温を下げる治療が勧められるかがはっきりするかもしれません。
執筆者
Respective impact of lowering body temperature and heart rate on mortality in septic shock: mediation analysis of a randomized trial.
Intensive Care Med. 2015 Jul 23 [Epub ahead of print]
[PMID: 26202042]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。