2015.08.10 | コラム

脱毛のメカニズム(脱毛シリーズ②)

脱毛はどんな作用でされるの?

脱毛のメカニズム(脱毛シリーズ②)の写真

脱毛シリーズ第一弾では、脱毛の定義について説明しました。今回は脱毛のメカニズムについて解説します。

効果的なムダ毛の脱毛を行ううえで、毛周期についての理解はとても重要です。毛周期に合わせてレーザーを照射することで効果的に脱毛されます。では、毛周期とはなんでしょうか?

 

◆毛周期について知ろう

毛は、ずっと毛穴にとどまり伸び続けているのではなく、一定の周期で生え変わります。その周期を『毛周期』と言い、5期に分類されます。

  1. 成長初期:毛母細胞(毛穴の奥にある、毛のもととなる細胞)の分裂が始まって、皮膚の中で毛の成長が始まるスタート段階
  2. 成長期:毛母細胞が活発に分裂し始め、毛が成長して皮膚の中で伸びている段階
  3. 成長後期:毛乳頭(いわゆる毛の根っこのようなもの)が皮下組織(皮膚よりも深い層)に達して、毛細血管から栄養を取り込んで皮膚の外に向かってどんどん伸びる段階
  4. 退行期:毛乳頭から毛根が離れて、毛母細胞への栄養供給がストップすることにより毛母細胞の分裂が止まり、毛の成長が止まる段階
  5. 休止期:毛が抜け落ちて、次の毛の成長を始めるまでの休止状態

このサイクルを繰り返し、毛は生え変わります。しかし、もしも全ての毛が同じタイミングで生え変わってしまったら、一度全く毛が無くなってツルツルになる時期が生まれてしまいますね。このような事がない理由は、全ての毛がバラバラのタイミングでサイクルを繰り返すことで、常に毛が生えている状態を保っているからです。

それでは、この毛周期が脱毛とどのような関係があるのでしょう?

 

◆成長期の毛だけが医療脱毛のレーザーに反応する

医療脱毛レーザー照射の効果が得られるのは成長期(初期~後期)の毛だけなのです。医療レーザー脱毛は、黒い色(メラニン)に反応する波長のレーザーを使用しており、毛根部分の黒い色に反応させることで、成長期の毛根部分にある毛の成長に関わる細胞(毛乳頭や毛母細胞)と共に熱破壊して毛の成長を止め、また新たに毛が作られるのを阻害するのです。

 

◆一度の照射で効果がある毛の量は?

では、今生えている毛の中で、成長期の毛はどのくらいなのでしょうか?

答えは、約15~20%です。

例えば今の状態の肌に医療脱毛レーザーを当てて脱毛の効果を得られる可能性がある毛は、毛全体量の約15~20%ということになります。えっ、そんなもん?と思った方も多いのではないでしょうか。

全ての毛が同じ毛周期で生え変わっている訳ではなく、毛の生えている部位によって、体調によって、また個人差によって毛周期が異なり、成長期の毛の割合が多かったり少なかったりすることもあります。さらに、日頃から毛抜き等で抜いて処理している場合にも毛周期が狂い、成長期の毛の割合が変化する可能性があります。

これらの理由で、一度で生えている毛全てに効果がある訳ではないことがお分かりいただけたでしょうか。

 

このように、発毛のサイクルやレーザーの特徴を踏まえ、定期的な医療脱毛レーザーを照射する事で効果的に脱毛の効果が得られるのです。

毛周期は毛の生えてる部位によって異なりますが、一般的には1ヶ月から2ヶ月感覚での照射が推奨されています(使用器械や施述機関によって推奨期間は異なります)。また、近年では毛根のメラニンだけで無くバルジ領域(毛の種を蒔く発毛因子)にアプローチして発毛させないような器械も開発されてきており、今後も様々な発展の可能性もあります。

施術を受ける医療機関で使用されている医療脱毛レーザーの特徴を確認し、その機関の推奨する照射周期を守る事でより効果的な脱毛が可能になるでしょう。

執筆者

名原 史織

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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