2015.07.25 | ニュース

致死性の感染症、原発性アメーバ性髄膜脳炎とは?コスタリカ旅行後の11歳の少年が死亡

アメリカの症例報告

from Emerging infectious diseases

致死性の感染症、原発性アメーバ性髄膜脳炎とは?コスタリカ旅行後の11歳の少年が死亡の写真

アメリカ大陸に生息するネグレリア・フォーレリというアメーバは、人間の脳に感染して致命的な「原発性アメーバ性髄膜脳炎」を起こします。フロリダ州在住の男の子が中米のコスタリカに旅行したあと死亡した症例が報告されました。

◆原発性アメーバ性髄膜脳炎とは

ネグレリア・フォーレリは、南北アメリカ大陸の熱帯から温帯の地域で、温泉など温かい水から感染することが多いと考えられています。子どもにも成人にも、免疫の異常がなくても感染します。鼻から感染して脳に侵入すると考えられています。

感染後5日から7日で頭痛、発熱、嘔吐などの症状が突然現れ、1週間以内にほとんどの場合は死に至ります。生存例はこれまで世界で数例が報告されているだけです。

 

◆新たに報告された症例

2014年7月29日に、フロリダ州在住の11歳の男の子が原発性アメーバ性髄膜脳炎で入院し、入院後3日以内に死亡しました。この男の子はコスタリカへの旅行から帰国した直後でした。旅行中に行った場所で病原体を探したところ、温泉と池の水からネグレリア・フォーレリが見つかりました

 

原発性アメーバ性髄膜脳炎は日本で発症・死亡した例もあります。海外旅行では思わぬ病原体に出会うこともないとは言えないので、行き先での流行情報をあらかじめ知っておくことや、必要に応じて予防接種を受けること、帰国後に体の異変を感じたときは医師に旅行のことを伝えることが重要です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Fatal meningoencephalitis in child and isolation of Naegleria fowleri from hot springs in Costa Rica.

Emerg Infect Dis. 2015 Feb

 

[PMID: 25625800] http://wwwnc.cdc.gov/eid/article/21/2/14-1576_article

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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