2015.07.20 | ニュース

血圧を下げるために一番効果的な泳ぎ方は?軽度の高血圧女性を対象とした効果

ランダム化比較試験により検証

from BioMed research international

血圧を下げるために一番効果的な泳ぎ方は?軽度の高血圧女性を対象とした効果 の写真

スイミングが血圧を下げる効果はこれまでも報告されていましたが、その強度による効果は不明でした。今回の研究では、休憩を入れながら全力で30秒間泳ぐことを繰り返す群(HIT群)、普通のスピードで続けて1時間泳ぐ群(MOD群)、対照群の血圧降下に対する効果を検証しました。その結果、HIT群とMOD群では、HIT群の方が泳ぐ距離、時間が短いにも関わらず、同等の効果であったことを報告しました。

◆全力で短い時間泳ぐ群(HIT群)、長い時間泳ぐ群(MOD群)、対照群にランダムに振り分け

今回の研究は、普段から座る時間が長い、軽度の高血圧症女性62名をHIT群、MOD群、対照群の3群にランダムに振り分け、以下の方法で実施しました。

HIT群は、2分間の休憩を挟み、30秒間、6-10セット、全力で水泳を行うことを、MOD群は、無理のないペースで続けて1時間泳ぐことを、それぞれ44 ± 1、43 ± 1セッション、15週間かけて実施した。

短い時間を複数回全力で泳ぐ群と、無理のないペースで長く泳ぐ群、何もしない群にランダム振り分け、効果を検証しました。

 

◆全力で短時間泳いでも、無理のないペースで長時間泳いでも効果は同等

調査の結果、以下のことを報告しました。

収縮期血圧は、HIT群で6±1mmHg、MOD群で4 ± 1 mmHg減少した(p<0.05)。

安静時心拍数は、HIT群、MOD群の両方で5 ± 1 bpmの減少が認められ(p<0.05)、脂肪量はそれぞれ1.1 ± 0.2、2.2 ± 0.3 kgと減少した(p<0.05)。

一方で、血液脂質プロファイルは変化が見られなかった。

全力で泳いでも、無理のないペースで泳いでも、血圧、安静時心拍数を下げるという結果でした。 全力で短い時間、短い距離泳いだ場合と、無理のないペースで長時間、長距離泳いだ場合には、効果に統計的な差は認められませんでした。

この結果をうけて筆者らは、「座りがちな軽度高血圧症の女性では、高強度の断続的な水泳は、心血管系の健康および身体機能を改善する効果的なトレーニング戦略である。泳ぐ時間、距離は高強度群でかなり短いにも関わらず、高強度と低強度のトレーニンスは類似した結果であった」と述べています。

 

ゆっくり長時間泳ぐか、短時間で短い距離を泳ぐか、同じくらいの効果であれば、どちらが良いかは人によって異なりそうですね。健康のため水泳をしたい方には参考になるかもしれません。

執筆者

MT

参考文献

High-intensity intermittent swimming improves cardiovascular health status for women with mild hypertension.

Biomed Res Int. 2014

[PMID: 24812628]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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