2015.07.17 | ニュース

パーキンソン病患者が運動しながら脳に電気刺激を行うと、歩く速さとバランス機能が改善した

経頭蓋直流電気刺激(tDCS)の効果をランダム化比較試験により検証

from Clinical rehabilitation

パーキンソン病患者が運動しながら脳に電気刺激を行うと、歩く速さとバランス機能が改善した の写真

パーキンソン病のリハビリテーションは運動療法が中心ですが、その効果は検証段階です。今回の研究では、頭の表面に電気刺激を行う経頭蓋直流電気刺激(tDCS)を行いながら運動療法を実施することで、ただ電気刺激を行うよりも効果を増すことを報告しました。

◆経頭蓋直流電気刺激とは

頭の表面に電気刺激を行い、脳活動を変化させる治療法で、脳卒中やうつ病に対する効果が検証され始めている手法です。

 

◆経頭蓋直流電気刺激のみを行う群と経頭蓋直流電気刺激と運動療法を併用する群に振り分け

今回の研究では、パーキンソン病患者16名を、経頭蓋直流電気刺激を行いながら運動療法を実施する群と、運動療法なしで経頭蓋直流電気刺激のみ行う群の2群にランダムに振り分けました。どちらの群でも、経頭蓋直流電気刺激を行う場合と偽刺激を行う場合の2種類を別の日に行いました。2群でそれぞれ経頭蓋直流電気刺激の効果を、歩く速さとバランス機能を指標に検証しました。

 

◆経頭蓋直流電気刺激は運動療法を伴う方がより有効

調査の結果、以下のことを報告しました。

運動療法と経頭蓋直流電気刺激を併用すると、経頭蓋直流電気刺激のみと比較して、歩行速度(平均29.5%、SD13、p<0.01)、バランス機能(pull test:平均50.9%、SD37、p=0.01)が改善した。

経頭蓋直流電気刺激単独の効果は見られなかった。

運動療法は歩行速度を改善したが(平均15.5%、SD12.3、p=0.03)、これらの効果は経頭蓋直流電気刺激と運動療法の併用と比較して少なかった(p<0.025)。

パーキンソン病がより進行していた患者ほど、より電気刺激が改善に結びついていた。

調査の結果、経頭蓋直流電気刺激と運動療法を併用した方が、経頭蓋直流電気刺激単独と比べて、歩く速さとバランス機能をより改善するという結果でした。

 

これまで紹介してきた電気刺激の効果も、薬や運動と併用することで示されてきており(脳卒中:http://medley.life/news/item/55823350095b9ff5006849a3、うつ病:http://medley.life/news/item/55714e4cbea2c4fb006a6d79)、パーキンソン病でも類似した結果でした。まだ発展途上の手法ですので、今後の検証に期待したいですね。

執筆者

MT

参考文献

Combining physical training with transcranial direct current stimulation to improve gait in Parkinson's disease: a pilot randomized controlled study.

Clin Rehabil. 2014 Nov

[PMID: 24849794]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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