2015.07.15 | ニュース

股関節の人工関節術後のバランス機能に、術前に在宅で太極拳と筋力トレーニングが有効

ランダム化比較試験により検証

from Archives of gerontology and geriatrics

股関節の人工関節術後のバランス機能に、術前に在宅で太極拳と筋力トレーニングが有効 の写真

人工股関節全置換術(THA)は、股関節の骨折や変形性股関節症を対象に行われる手術で、術後にはバランス機能の向上を目的にリハビリが行われることがあります。今回の調査では、THAの術前に在宅で太極拳と筋力トレーニングを組み合わせて行うと、通常のケアと比較して、術後のバランス機能や持久力がより向上したことを報告しました。

◆トレーニング群と通常のケア群にランダムに分類

今回の研究は、末期の変形性股関節症患者81名を対象に、以下の方法で実施しました。

対象は、トレーニング群(TG)と対照群(CG)の2群にランダムに振り分けられた。

TGでは、12週間、家族監視下で太極拳と筋力トレーニングの組み合わせを行うこととした。

評価は、TGとCGについて、WOMACスコア、6分間歩行、立ち上がりテスト、歩行テスト、関節可動域を一元配置分散分析で比較した。

トレーニング群は太極拳と筋力トレーニングの組み合わせを12週間行い、通常のケア群と比較して身体機能がどのように変化するか検証しました。

なお、通常のケア群では、術後のトレーニングについてはトレーニング群と同様のことを行いました。

 

◆トレーニング群ではバランス機能、持久力がより向上した

調査の結果、以下のことを報告しました。

介入開始時では2群間の特徴に有意な差は認められなかった(p>0.05)。

トレーニング後、TG群では6分間歩行距離が409.59±51.31 mから478.10±52.46 m (P<0.01)、Time for up and go testでは18.53±3.90秒から14.61±2.60秒(P<0.01)、WOMACの自己報告式機能スコアでは40.97±5.65から36.28±5.11 (P<0.01)と有意に改善した。

しかしながら、WOMACの痛みスコアや股関節の可動性については有意な変化は認められなかった。

術前に太極拳と筋力トレーニングを組み合わせて行った群では、バランス機能、持久力がより向上したという結果でした。一方で、痛みに対する効果は認められませんでした。

また、これらのトレーニングは遵守されやすかったとも報告されています。

 

手術の前からたくさん運動を行うことで、術後の効果をより向上させることができるかもしれません。今後、より効果的な運動の組み合わせが検証されることに期待します。

 

執筆者

MT

参考文献

A randomized controlled trial: preoperative home-based combined Tai Chi and Strength Training (TCST) to improve balance and aerobic capacity in patients with total hip arthroplasty (THA).

Arch Gerontol Geriatr. 2015 Mar-Apr

[PMID: 25533574]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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