2015.06.13 | ニュース

がんの治療後でも、出産はできた

ドイツでホジキンリンパ腫治療後の女性を追跡

from The Lancet. Oncology

がんの治療後でも、出産はできたの写真

ホジキンリンパ腫は40歳未満の人に多い血液のがん(悪性腫瘍)です。抗がん剤による化学療法、放射線療法が多くの場合に有効で、再発も少ないとされています。しかし、若い女性に発症したあとで、出生率に影響があるかどうかはよくわかっていません。ドイツの研究で、ホジキンリンパ腫の治療後の女性を追跡調査した結果、診断後およそ20年のうちに467人のうち228人に出産があったことが報告されました。

◆ホジキンリンパ腫の治療結果が良好な人が対象

研究班は次のように対象者を選びました。

この前向き縦断研究において、対象としたコホートは診断時に18歳未満で、1978年6月19日から1995年7月12日の間にホジキンリンパ腫の治療の研究5件のいずれか1件に参加した女性患者590人から成った。5年以上のフォローアップを受け、完全寛解の状態を維持し、出産までにほかの悪性病変が新たに指摘されることなく、ホジキンリンパ腫の再発もなかった人を出生率解析の対象に含めた。

ホジキンリンパ腫を診断された時点で18歳未満で、治療によりホジキンリンパ腫が完治したと見られ、5年以上追跡して再発などがなかった人が対象となりました。

 

◆467人中228人が、計406児を出産

調査から次の結果が得られました。

コホート内の590人の患者のうち467人が長期のフォローアップ(中央値20.4年、四分位間範囲16.3-24.8)の間完全寛解を維持していた。467人の患者のうち228人(49%)が計406人の子ども(中央値で母親1人あたり出産1.78人、レンジ1人から7人)を産んだ。

条件に合った467人のうち、その後出産があったのは228人で、子どもの数は合計406人でした。

研究班は「この結果はホジキンリンパ腫から生存した女性の出産について、全体として良好な予後を示している」と述べています。

 

治療結果が悪かった場合や、ホジキンリンパ腫発症前の出産はこの数字には含まれていません。また、家族計画に影響があったかどうかもこの研究の主な目的とはされていません。しかし、治療後の228人が出産できたということには、一定の意味がありそうです。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Parenthood in adult female survivors treated for Hodgkin's lymphoma during childhood and adolescence: a prospective, longitudinal study.

Lancet Oncol. 2015 May 7 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 25959806]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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