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ピーナッツアレルギーを治す「舌下免疫療法」の効果はいかに?
3年間の治療で10%にアレルギー反応消失

from The Journal of allergy and clinical immunology


ピーナッツアレルギーを治す「舌下免疫療法」の効果はいかに?の写真

写真はイメージです。本文の内容とは関係ありません。 (C) sommai - Fotolia.com


アレルギーの治療のひとつに、舌下免疫療法(SLIT)という方法があります。舌下免疫療法とはアレルギーを起こす成分を口の中に含ませて、体をならしていく治療です。アメリカで最近行われた研究では、3年間ピーナッツアレルギーの舌下免疫療法を行った結果、患者の約10%でアレルギー反応がなくなっていました。

◆3年間のピーナッツSLIT療法

著者らは以下の方法で調査を行いました。

12才から40才の40人の患者に毎日ピーナッツSLIT療法を行い、治療開始2年後と3年後に、10gのピーナッツ粉末を用いて処置への応答を検討した。治療開始3年後には、不応答の持続性を調べるため、SLITを8週間止めた後もう一度10gのピーナツ粉末による試験と、ピーナッツバターを食べる試験を行った。

つまり40人にSLIT療法を3年間続け、その後アレルギー反応が出るかどうか、10gのピーナッツ粉末を飲む試験で調べました。

さらに、SLIT療法を止めた後もアレルギー反応を抑える効果が続いているかどうか、ピーナッツ粉末とピーナッツバターで試しています。

 

◆アレルギー反応消失は1割

以下の結果となりました。

約18,165回服用のうちおよそ98%は重篤な症状またはエピネフリンの使用なく、中咽頭より先での副作用もなく許容された。高割合(50%以上)の治療中断があった。調査終了時まで、37人中4人(10.8%)のピーナッツSLIT処方患者は完全にピーナッツ粉末10gに対して脱感作し、4人全員持続的な不応答性を実現した。

つまりSLIT療法を続けている間、酷いアレルギー反応は見られず、治療を受けた人の10.8%はピーナッツへのアレルギー反応が無くなりました

ただし、治療を受けた人の過半数が、予定された3年間SLIT療法を続けることなく途中でやめていました。

著者らは、「ピーナッツSLIT療法は緩やかな脱感作を引き起こし、3年以上免疫活性を低下させ、長期間の優れた安全性をもたらした。しかしながら殆どの患者は3年までに治療を中断し10.8%しか持続した不応答を示さなかった」と述べています。

手法自体に問題はなさそうですが、50%の中断が気になる所です。アレルギー反応は個人差もあるので、難しい点です。スギ花粉などに対しても行われる舌下免疫療法の効果を見渡すと、10%でアレルギー反応がまったく出なくなったというのは良い結果であり、更に割合を増やす為の研究が望まれます。

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◆参照文献

Sublingual immunotherapy for peanut allergy: Long-term follow-up of a randomized multicenter trial.

J Allergy Clin Immunol. 2015 May


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*本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。 [執筆者一覧]



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