2015.04.24 | ニュース

乳児期にピーナッツを食べるとピーナッツアレルギー発症者が減った!

640人のアレルギー体質の乳児を追跡調査

from The New England journal of medicine

乳児期にピーナッツを食べるとピーナッツアレルギー発症者が減った!の写真

欧米では過去10年間に子供がピーナッツアレルギーを持つ割合が倍増しており、近年アフリカやアジアでも患者が増加傾向にあります。 これまでは、アレルギーリスクの高い乳児には食物アレルギーを引き起こすリスクが高い食品を与えないのが一般的でしたが、今回、英国の研究グループが乳児期にピーナッツを食べ始めることによってピーナッツアレルギーの発症者が減ったことを報告しました。

◆640人の乳幼児を調査

640人の赤ちゃんを、ピーナッツを摂取する群と控える群にランダムに分け、5歳になった時点でピーナッツアレルギーを発症しているかどうかを比較し、ピーナッツの早期摂取がアレルギー発症にどのような影響を及ぼすか調査しました。

赤ちゃんは、ひどい湿疹や卵アレルギーを持つ、4~11ヶ月の赤ちゃんが集められました。また実験を開始する前に、ピーナッツアレルギーがあるか、今後発症しそうかどうかは皮膚プリックテストで評価されています。

 

◆ピーナッツの摂取でアレルギー発症を抑えられる!?

研究の結果、ピーナッツを摂取していた赤ちゃんの方がピーナッツアレルギーにかかりにくい傾向にあることが分かりました。アレルギー反応を調べるプリックテストの結果が陰性だった子どもの場合において5歳時点でのピーナッツアレルギー有病率は、ピーナッツを食べさせなかった群で13.7%だったのに対し、食べさせた群では1.9%という結果でした。

また、ピーナッツアレルギーに特異的である血中のIgE抗体の数値も含めた分析を行っており、ピーナッツを食べさせた群で有病率が低下したことを示しています。

研究グループは「乳幼児からピーナッツを予防的に摂取することでピーナッツアレルギーの発症を抑えることができるのではないか」と考察しています。

今までの常識を覆すような今回の研究結果について、現場の医師の皆様からご意見や注意点を頂けませんか?

執筆者

佐々木 康治

参考文献

Randomized trial of peanut consumption in infants at risk for peanut allergy.,

N Engl J Med., 2015 Feb 26

 

[PMID: 25705822]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

▲ ページトップに戻る