怪我や病気で仕事を休んだ時にもらえる傷病手当金とは? 対象となる人や期間について | MEDLEYニュース
2022.02.01 | コラム

怪我や病気で仕事を休んだ時にもらえる傷病手当金とは? 対象となる人や期間について

2022年1月1日から支給期間が変更となり、仕事と治療を両立しやすくなりました
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(c)ケイーゴ・K-stock.adobe.com

働く人にとって、怪我や病気による休業は心配の種です。特に休業が長期になると、金銭的な不安が大きくなると思います。あまり知られていないかもしれませんが、会社員や公務員の方などが加入している健康保険(公的な医療保険)には「傷病手当金」という制度が用意されており、休業時に経済面での支えとなります。

令和4年1月1日から傷病手当金の支給期間が変更されたので、制度の概要とともに説明します。

 

傷病手当金とは?

傷病手当金は、業務外で発生した怪我や病気で休んでいる人とその家族の生活を保証するための制度です。傷病手当金の申請が認められると、1日につき直近12か月の標準報酬月額の30分の1に相当する金額の3分の2を受け取ることができます。

例えば、直近12か月の標準報酬月額が30万円の人が90日間休業した場合にもらえる金額の合計は次のように求められます。

 

【例:標準報酬月額30万円で、90日休業した場合の支給額】

  • 1日あたりの支給額*:30万円 ✕ 1/30 ✕ 2/3 ≒ 6667円
  • もらえる金額の合計:6667円 ✕ 90日 = 60万30円

*1/30をかけた後で1の位を、2/3をかけた後で小数点第1位を四捨五入

 

なお、上の計算式は全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入している人が得られる傷病手当金の求め方です。各健康保険によって計算式に若干の違いがあるので、正確な値が知りたい人は加入している健康保険で確認してみてください。 傷病手当金は、心強い制度なのですが、受け取れる人は「いくつか条件を満たしている必要」があります。次に条件について見ていきたいと思います。

 

傷病手当金の制度があるのはどんな人なのか?

健康保険(公的医療保険)にさえ加入していれば、傷病手当金を受け取れるというわけではありません。傷病手当金は、原則として会社員や公務員といった被雇用者が加入する健康保険にのみ用意されたものです。つまり、フリーランスや自営業の方が加入する国民健康保険では傷病手当金の制度がありません。

 

傷病手当金の支給要件は4つある

支給を受けるにはさらに次の4つの要件を満たす必要があります。

 

【傷病手当金の支給要件】

  1. 仕事をすることができない
  2. 怪我や病気が業務によるものではない
  3. 3日間連続する日を含んで4日以上仕事につけなかった
  4. 休業期間中には給与の支払いがない

 

それぞれの要件について詳しく説明していきます。

 

傷病手当金の支給要件①:仕事をすることができない

仕事ができるかどうかの判定は自己申告ではありません。怪我や病気の診療を行なっている医師や歯科医師が作成した診断書などをもとにして、業務内容を加味した上で判断されます。

 

傷病手当金の支給要件②:怪我や病気が業務によるものではない

傷病手当金は休業理由となる怪我や病気が業務外で起きた場合に支給されます。一方で、業務に関連した怪我や病気による休業は労災保険の対象になります。

 

傷病手当金の支給要件③:3日間連続する日を含んで4日以上仕事につけなかった

怪我や病気によって療養を開始した日以降に、連続して3日間を休業した後の4日目から傷病手当金が支給されます。下図の例②のように、待機期間から支給開始までの間に出勤を挟んでも、要件を満たすことができます。なお、支給がない最初の連続した3日間の休業は「待機3日間」とも呼ばれ、休日や有給休暇も含まれます。

 

傷病手当金の支給要件:連続して3日間を休業した後の4日目から支給とは

 

傷病手当金の支給要件④:休業期間中には給与の支払いがない

一時的に復職した日や、有給休暇を使った日は傷病手当金の対象外となるので、支給を受けられません。つまり、傷病手当金が支給される日は原則として給与の支払いがないことが条件になります。

 

傷病手当金の受給期間について: 2022年1月1日から支給期間が変更となり治療をしながらでも仕事を続けやすくなった

傷病手当金の受給期間は1年6か月が限度です。ですが、カウントの仕方が少し複雑なので、注意が必要になります。また、すでに傷病手当金について知っている人も令和4年1月1日から期間のカウント方法が変わったので、変更点について確認してみてください。

 

傷病手当金の支給期間1年6か月(2022年以前)

以前は、傷病手当金の受給が始まった日から、最大で1年6か月の間が支給期間の限度となっていました。これは、上の図にあるように、傷病手当金の支給が始まってから、一時的な復職期間があったとしても、1年6か月を経過すると、傷病手当金の支給を受けられないことを意味します。例えば、治療に2年を要し、給付期間中のうち6か月間復職していたケースを考えてみます。この場合、復職した6か月間には傷病手当金は発生しませんが、1年6か月経過後にその埋め合わせがあるわけではありません。2年間のうち最後の6か月は収入がなくなってしまうわけです。

このように、長期の治療を行う場合には、やや心もとない面があった傷病手当金ですが、令和4年1月1日から給付期間が最大1年6か月から通算1年6か月に変更され、保証期間がより長くなる可能性がでてきました。変更点が少し分かりづらいかもしれないので、具体例で説明します。

 

傷病手当金の支給期間通算1年6か月(2022年1月から)

 

先ほどと同様に、治療に2年を要し、給付期間中のうち6か月間復職していたケースで考えてみます。通算化に変更前は、1年6か月を経過した時点で、給付は終了となりました。一方で、通算化に変更後は、上の図のように復職した6か月間は傷病手当金の期間を消化していないとみなし、1年6か月が経過した後でも、残っている6か月間は傷病手当金を受給できるようになったのです。例に出したケースですと、治療期間2年のうち、収入が途絶える期間がなく過ごせることになります。

やや極端な例を出しましたが、それでも、安心して治療を受けられる環境整備としては大きな一歩だと考えられます。

 

今回は傷病手当金について令和4年1月1日の変更点も含めて説明しました。傷病手当金は病気を抱えながら働く人にとって特に大事な制度です。内容を熟知して、休みが必要なときには活用していただきたいですし、もしものときの心の支えにもしていただければと思います。このコラムが、少しでもお役に立てれば幸いです。

 

なお、新型コロナウイルス感染症による休業にも、傷病手当金が使えます。また、使えない場合には新型コロナウイルス対応休業支援金・給付金という制度が用意されています。詳しい内容については、次回以降のコラムで説明します。

 

 

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。