2017.10.12 | ニュース

カフェイン1日100mgで死亡率減少?コーヒー週1杯未満でも

17,594人の統計から

from Mayo Clinic proceedings

カフェイン1日100mgで死亡率減少?コーヒー週1杯未満でもの写真

カフェインと健康の関係はさまざまな角度から研究され、良い面・悪い面ともに指摘されています。大規模追跡データの解析から、死亡率との関係が検討されました。

カフェインは体に良い?悪い?

以前から、コーヒー消費量と健康の関連が指摘されています。コーヒーを習慣的に飲んでいる人では長期的に心血管疾患心臓や全身の血管(主に動脈)に起こる病気の総称。ほとんどの場合は動脈硬化が原因となる、虚血性心疾患や脳卒中、末梢血管障害などを指すによる死亡が少ないとした報告などがあります。

本当にコーヒーが病気を防いでいるのか、また因果関係があるとすればどのようなしくみで働くのかなど、確かとは言い切れない部分も残っていますが、何らかのつながりがあるとする意見は多く出されています。

コーヒーはカフェインを多く含んでいます。コーヒーによる作用がカフェインによるものかははっきりしていません。また、カフェインを一度に大量に摂取することで心臓や脳に悪い影響が出ることも考えられ、実際に心停止に至った例なども報告されています。

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カフェイン摂取量と死亡率の関係は?

国立国際医療研究センター病院糖尿病内分泌代謝体内で行われる、物質の合成や分解などの化学反応のこと科の辻本哲郎氏らが、統計データを解析する方法でカフェインと死亡率の関係を検討し、結果を専門誌『Mayo Clinic Proceedings』に報告しました。

この研究はコーヒーに限らずカフェインの摂取量に注目しています。カフェインはコーヒー以外にも紅茶・緑茶やエナジードリンク、ココアなどに含まれています。

研究対象として、アメリカで1999年から2010年にかけて行われた追跡調査の結果のうち、17,594人分のデータを統計解析しました。

調査参加時点のカフェイン摂取量によって対象者を4グループに分けました。

  • 1日10mg未満
  • 1日10-99mg
  • 1日100-199mg
  • 1日200mg以上

グループごとに平均年齢は48歳から50歳程度、女性の割合は59.2%から45.9%でしたが、カフェイン摂取量が多いグループで年齢がやや高く、男性がやや多い傾向がありました。追跡期間は平均で6.5年分のデータが得られました。

結果に影響すると思われた年齢・性別・人種などの要因は計算上調整し、カフェインによる差と思われたものを計算しました。

 

カフェイン摂取量が多いほうが死亡率が低い

解析から次の結果が得られました。

カフェイン摂取量が1日10mg未満だった参加者に比べて、全死因死亡率はカフェイン摂取量が1日10-99mg(ハザード比0.81、95%信頼区間0.66-1.00、P=0.05)、100-199mg(ハザード比0.63、95%信頼区間0.51-0.78、P<0.001)、200mg以上(ハザード比0.69、95%信頼区間0.58-0.83、P<0.001)で有意データを分析して導かれた結果が、偶然として説明できる確率は低いとみなされることに低かった。

カフェイン摂取量が1日10mg未満のグループに比べると、カフェイン摂取量が多いどのグループでも全体としての死亡率が低く、0.63倍から0.81倍になっていました。

また、コーヒー消費量が週に1杯未満の人だけに限ってカフェイン摂取量で比較しても、カフェイン摂取量10mg未満に比べて100-199mgのグループで死亡率が0.46倍に低くなっていました。

 

カフェインは飲んだほうがいいのか?

カフェイン摂取量と死亡率の関係の研究を紹介しました。1日あたりカフェイン100-199mg、コーヒー以外ならエナジードリンク1缶程度に相当するカフェインを飲む人で死亡率が低かったという結果でした。

この結果は、対象者をランダムに分けてカフェインを飲むか飲まないかを決める方法ではないため、グループによる偏りがあるなど、何らかの別の要因が結果に影響している可能性を完全には否定できません。また関係があるとしても、数年にわたってカフェインを飲む習慣をつけようとする努力に見合うかどうかははっきりしません。

もちろん長期的な効果があるかないかにかかわらず、一度に大量に飲むことで害が出る可能性には注意が必要です。

 

むしろ大切なのは、こうした結果が確定的ではない、つまり「カフェインを飲んだほうがいい」とも「飲まないほうがいい」とも合理的に結論できるだけの証拠は限定的にしかないという事実ではないでしょうか。

上に紹介した解析でも、対象者に糖尿病があるかないか、あるいは計算で調整する要因をどこまで加えるかによって少しずつ結果が変わっています。わずかな条件の違いで変わる程度の結果であり、これだけを見て「カフェインは体に良いかどうか」を決めることはできません。

明確な関係が証明されない限り、カフェイン飲料を飲むかどうかは、明らかに危険とされる程度を超えなければ、個人の好みによると言えるのではないでしょうか。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Association Between Caffeine Intake and All-Cause and Cause-Specific Mortality: A Population-Based Prospective Cohort Study.

Mayo Clin Proc. 2017 Aug.

[PMID: 28697850]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。